「フェイスブックに自殺の実況シーンが」(2017年03月22日)

2017年3月17日午前4時ごろ、南ジャカルタ市ジャガカルサ郡チガンジュル町クム
ニャン通りの民家で、派手な夫婦喧嘩が起こった。原因は浮気問題だったようだ。隣組長
が仲裁に入って喧嘩は収まったが、妻は夫と子供たちを置いて出て行った。次いで子供た
ちまでもが、父親ひとりを残して家から立ち去った。運転手を職業にしている夫のパヒン
ガル35歳は強いショックを受けたようだ。

その日の午前10時ごろ、パヒンガル・インドラワン名のフェイスブックアカウントにき
わめてプライベートなビデオが登場した。自宅内で、自分のスマホに向かって、今自分が
置かれている状況と、どうしてこうなったのか、というかれ自身の説明のモノローグが録
画された。死を決意した言葉が盛り込まれている。まず、その1分11秒の動画がアップ
された。
「オレはあいつを死ぬほど愛してる。なんでかオレにもわからないが、多分ベターハーフ
なんだろう。今、あいつはオレと子供たちを置いて、行ってしまった。説明するのはむつ
かしい。オレは自分がどうすればいいのかわからない。オレも気持ちが乱れ切ってる。」
「本当はオレにも勇気はない。まあ見てみよう。多分実況中継するだろう。でなかったら、
オレの妻への思い出ビデオだな。」

その次にかれのフェイスブックに出現した1時間46分に及ぶ動画に、フェイスブッカー
たちは仰天した。パヒンガルの首つり自殺の実況シーンが出て来たからだ。このビデオの
クリック数は10万回を超えた。


そんなことなど露知らぬ隣組長は、13時半ごろパヒンガルの子供がやってきて、家を見
てくれと頼むから、一緒にかれの自宅内に入った。そしてパヒンガルの遺体に遭遇し、警
察に連絡した。それからは、通例の自殺遺体処理が進められたわけだが、フェイスブック
の動画は手が付けられないままだった。

フェイスブック側が動画をクローズしたのは夜になってからの20時半ごろで、既にフェ
イスブッカーたちの間でダウンロードされたその動画が世界中を駆け巡ったあとだった。

政府情報通信省は国民に対し、その自殺実況動画は即座に消去し、子供たちの目に入らな
いように対応してほしい、との要望声明を出している。