「混雑するブロモ観光」(2017年05月23日)

太陽の光が闇を裂いて現れ始めるときの美しさは筆舌に尽くしがたいものがある。パスル
アン県側のプナンジャカン1でも、プロボリンゴ県側のプナンジャカン2でも、それはま
ったく変わらない。凍てつくような冷たさに耐えて東の空が白むのをひたすら待つのは、
忍耐力のない者には苦しく難しいものであるにちがいない。

プナンジャカンの山頂で日の出を楽しみ、雲の上に突き出たスムル山をはじめ、いくつか
の高峰を遠望したあとは、砂の海を走ってブロモ火口見物に向かうのが通例のコースだっ
た。テレタビーズの丘と名付けられた緑の草の丘は、確かにテレタビーズの家に似ている。
しかしブロモ火口の火山活動が激しくなった昨今は、火口から1キロ以内に近付くことが
禁止されているため、息を切らせながら階段を上ってリムから火口を覗き込むこともでき
ない。

このブロモ火山サンライズツアーでは、地元民のジープをチャーターしなければならない
ことになっているのだが、町から四駆を駆ってやってきた観光客がその決まりを破る姿も
見られる。ともあれ、サンライズツアーだから深夜に傾斜の急な山道を、街灯もまばらな
原野を横切ってプナンジャカンの山頂近くまで登らなければならないのだから、そのルー
トに慣れていない者が運転すると疲労困憊するのは明らかだ。そのために日の出の美を味
わう楽しみが低下しては、何をしに行ったのかわからないのではあるまいか。

ジープのチャーター料金は一車60万ルピアで、その他に入山料を支払わなければならな
い。

砂の海にはこれも地元民の貸馬屋がいて、乗馬の楽しみも味合わせてくれる。地元民のテ
ンゲル族はこの砂の海をスガラウディ(Segara Wedhi)と呼び、死者の霊が冥界にたどり着
く際の通り道だと考えている。


ブロモ火山はブロモ(Bromo)・テンゲル(Tengger)・スムル(Semeru)国立公園の峰の一つで、
国立公園管理館が管理責任を負っている。この国立公園を訪れた訪問者数は次のように推
移している。
2011年 125,471人
2012年 275,874人
2013年 552,644人
2014年 536,338人
2015年 474,011人
2015年の訪問者数のうちで国内観光客数は456,995人、外国人観光客数は17,
016人とのこと。この年に大幅な減少が起こったのは、ブロモの火山活動が活発化した
せいだった。

この数字を見ればわかるように、ブロモ火山サンライズツアーはたいへんな混雑になって
おり、サンライズ見物ポイントに至る道路では渋滞が発生し、また見物ポイントも観光客
を収容しきれないケースが増えていて、せっかくやってきた観光客を失望させて帰さなけ
ればならないことも起っている。ブロモ・テンゲル・スムル観光事業にとっては、その対
策が緊急問題になっている。