「ジャンビ観光」(2017年06月08日)

スマトラ島東部海岸にあるバタンハリ川は古代から経済の動脈路となり、文明の発展に貢
献して来た。ジャンビの町は古い歴史を現代に伝える宝庫のひとつ。
2016年9月にコンパス紙記者はジャンビの町を訪れた。これがその旅行記だ。

[木曜日午前10時]
シギンジェル(Siginjel)博物館はジャンビ地方の歴史をたどるのに恰好の場所だ。ウリッ
プスモハルジョ通りに位置するこの博物館は、インドネシアの博物館の中ではよく調えら
れ、整備されたもののひとつと言えるだろう。展示品はさまざまな区分に整理されてひと
つのストーリーの流れを形成している。それらはテーマごとに展示室が分けられて先史時
代から現代までのジャンビ地方の歴史と文化や産業を見せてくれる。
開館時間は月〜木曜日が8時から15時半、金曜日は8時から10時、土〜日曜日は8時
から13時となっている。入館料は大人2千ルピア、子供1千5百ルピアだ。

[13時]
博物館で学習した後は、オープンスペースで息抜き。ゴム園の中に設けられた人造湖一帯
の大きな自然公園がジャンビパラダイス。入園料2万ルピアの、この4Haのパラダイス
では、まず水遊びがお勧め。人造湖を巡るための貸しボートも用意されている。小型は一
時間2万ルピア、中型一時間3万ルピア、大型一時間4万5千ルピア。それとも湖岸で胸
いっぱいオゾンを吸い込み、木々の緑で目を休ませ、さざ波を眺めながら頭を空白にさせ
て、日々のストレスを溶解させるのも心地よいもの。池の魚に餌をばら撒くのも、ストレ
ス解消の一手法。このパラダイスはジャンビ市とジャンビ県の境界近くにあり、市の中心
部から自動車で30分ほどの距離だ。

[16時]
南国の夕陽というのは、ともかく美しい。日中のうだるような空気が和らいだそよ風に変
わって来るのも、南国の夕方の楽しさにちがいない。ジャンビには、スマトラ一長いバタ
ンハリ川を渡る全長503メートルの橋があり、この橋で川風を浴びながら日没を愉しむ
のがジャンビ市民の行楽のひとつ。
グンタラアラシと名付けられたバタンハリ川を渡るS字型の吊り橋は歩行者用の橋で、市
内中心部と川向うにあるジャンビバティック生産地のスブラン地区を結んでいる。この橋
が公開されたのは2015年3月で、今やジャンビのアイコンのひとつに数えられている。
橋のたもとにはグンタラアラシの碑があり、バタンハリ川のかつての黄金時代のありさま
を描いたレリーフをそこに見ることができる。バタンハリ川は1990年代まで上流と下
流を結ぶ交通路として利用されていた。
503メートルを徒歩で渡るのは・・・というひとには、橋の下に渡船がいるから、それ
を利用しても良い。渡船はたくさんいて、料金も決して高いものではない。
夕陽が沈むと、橋に灯りがともる。河畔の遊びは更に佳境に入っていく。夕陽のあとは夜
景。そしてインドネシア文化に必須な食べ物屋台。河畔に並ぶ屋台をはしごするのも、行
楽の愉しみのひとつだろう。

[金曜日午前8時]
ジャンビを訪れてムアロジャンビへ行かないという法はない。ジャンビ市中心部からおよ
そ20キロ離れたムアロジャンビはヒンドゥ=ブッダのチャンディが並ぶ文化保存地区だ。
12平方キロに及ぶ広いエリアに11世紀ごろ作られたとされる9のチャンディが群れを
なしている。Kotomahligai, Kedaton, Gedong Satu, Gedong Dua, Gumpung, Tinggi, 
Telago Rajo, Kembar Batu, Astonoと呼ばれるチャンディ群が、ヒンドゥ=ブッダ系チャ
ンディとしてはインドネシアでもっとも広いエリアに集まっている。そしてたいへんユニ
ークなことに、建造物はレンガを積み上げる方式で作られている。これはスリウィジャヤ
王国そしてその後継であるムラユ王国が作ったものと見られており、その最盛期にはスマ
トラ最大の仏教学習センターになっていたそうだ。
ここにはチャンディだけでなく、水路や運河、貯水池や盛り土などの遺跡も発見されてい
て、盛り土の下からはレンガが出土しており、明らかに人間が高い文化レベルで集団生活
を行っていたことを想像させてくれる。考古学的興味のあるひとは、遺跡のすべてを見た
いかもしれないが、それだと丸一日かかってしまう。半日で済ませたいひとは、ツアーを
朝早い時間にスタートさせるのがよい。太陽が高く昇ると、暑熱にまいってしまうかもし
れないからだ。

[13時]
ジャンビには71種の天然蘭があり、保存の必要性が叫ばれている。ジャンビ原生の蘭は
小柄で愛らしく、中に良い香りを発するものもある。保存の努力は1984年に開始され
た。スハルト大統領夫人の呼びかけで、当時のジャンビ州知事夫人スリ・スデウィが中心
となって州原生種の蘭を集めた蘭園を設け、そこで保存活動をスタートさせた。州内で見
つかったすべての蘭が集められ、育成展示されている。希少種のものは温室の外からしか
見られないようになっている。
市内アフマディヤニ通り(Jl Jenderal Ahmad Yani)にあるこの蘭園は農学部学生の研究セ
ンターとしての役割も果たしている。