「ストロベリー化する次世代」(2017年09月08日)

今の子供たちは個人主義的な傾向が進んでおり、学校でもアカデミックな能力の向上が焦
点の中心に置かれていることから、コミュニティ活動をあまり重視しない傾向が目立って
きている。インドネシアのフランスインスティテュートが行ったサーベイがまとめられ、
その調査結果が「インドネシアの高校生の日常」と題するセミナーの中で公表された。

調査はヨグヤ特別州ヨグヤカルタ市国立第6高校とパクム国立第1高校の10〜12年生
生徒を対象にして2015〜2016年の10カ月間、生徒たちの日常活動を観察すると
いう形で行われた。パクムの高校生は村落部で普通に行われているコミュニティ活動に携
わる機会が多いのに反して、ヨグヤカルタ市内の高校生にはそのような機会があまりなく、
個人や家族の活動をメインにして種々雑多なアクティビティが日常生活の多くを占めてい
ることから、都市部の子供たちは往々にして自分が何をしたいのかがわからなくなってく
る。

「時間・空間・価値観・知識をインテグレートすることに困難が生じている。現代の子供
たちは昔の子供たちよりはるかに多種多様な価値観に取り囲まれているというコンテキス
トにおいて、かれらは自己をどこへ向かわせ、何に焦点を当てるかということが複雑さを
増し、結果的に困難が生じている。観察された一般的傾向としては、今の子供たちはより
個人主義的になっているということだ。」このサーベイを指揮したフランス人人類学者ジ
ャン・マルク・ド・グラーヴェ氏はそうコメントした。

しかしかれは、インドネシアの高校生は諸活動を自主的に行うことができる、とも言う。
「子供たちにはそれができるという信頼感を先輩や年長者が持っていることが、そこに反
映されているにちがいない。インドネシアの教育家キ・ハジャル・デワンタラの語ったと
おり、教育というのは学識面だけで終わることはありえない。教育という行為の中で、強
いエトスの形成がそこに付随してくる。
政府の教育方針を見る限り、学識面の向上が強く脚光を浴びており、生徒が高い学術的業
績を得ることが優先目標にされているように思われる。12年生は都市部も村落部も同様
に修業国家試験のための勉強に追いまくられ、コミュニティ活動に加わる時間が持てない
のが現実だ。その実態が政府の教育方針を象徴しているように思われる。」

マラン国立大学人文教育学部教授は、今の生徒たちが直面しているのはスピーディな変化
でなく、既存秩序の大混乱なのだ、と語る。
「ミレニアル世代やZ世代はストロベリー世代とも呼ばれている。ストロベリーは美味な
果物だが、いたみやすい。この世代はメンタリティが脆弱で、忍耐力に欠けている。子供
の育成パターンの重要性をそこに見ることができる。生徒たちには21世紀を支えるため
の能力を涵養させるのに必要な教育が与えられなければならない。competent, quality, 
character, literacyがそれだ。」

人格教育の重要性が国内諸方面から叫ばれるようになっているいま、教授は今後の義務教
育の方向性について、そう語っている。