「アグン山が噴火のおそれ」(2017年09月19日) バリ島カランガスム県にある標高3,031メートルのアグン山(gunung Agung)が火山活 動を活発化させている。カランガスム県ルンダン郡ルンダン村の火山観測ポストは201 7年9月14日に火山性深層地震7回、浅層地震3回を記録し、その日14時に地学庁火 山地質災害対策センターが火山警戒ステータスを「平常」レベルの一級から「注意」レベ ルの二級にランクアップした。 そのランクアップによって、火口から3キロ以内および海抜1千5百メートル以上のエリ アへの立ち入りが禁止された。その立ち入り禁止エリア内は平常時でも住民の居住も活動 も行われておらず、登山者が立ち入る程度であるとのこと。もちろん登山が禁止されたわ けでないから、理論的には立ち入り禁止エリア内に踏み込まなければよいだけという話に なるのだが。 翌15日には0時から18時までの間に火山観測ポストで深層地震19回、浅層地震6回 が記録され、もっとも強いものはM2.9に達した。その現象はマグマが表層に上がって きていることを推測させるものだ、と火山地質災害対策センター東部火山観測課長は述べ ている。 バリ州地方災害対策庁は州内諸県に協力して、火山警戒ステータスが更に三級にアップし た場合に備えて、対応の準備を開始した。カランガスム県庁はアグン山が噴火した場合に 被害を受ける可能性の高い村々とその住民人口をマッピングし、避難先の場所を選定し、 また避難先での生活に必要な物資の調達などをスタートさせた。 アグン山が最後に噴火したのは1963年で、そのときは多数の村に被害が出て1,54 9人が死亡した。熱雲は火口から10キロの距離まで流れて住民を襲い、海岸近くにまで 達した。熱雲に続いて更にそのあと、火山泥流が村々を粉砕して行った。そのとき破壊さ れた村々に住民はまた戻って暮らしを続けてきたから、半世紀を経てまた同じことが繰り 返されるかもしれない。 2010年に中部ジャワ/ヨグヤ州ムラピ山で起こった噴火はVEI(火山爆発指数)で 第4級だったが、1963年のアグン山噴火は第5級であり、同じ規模の噴火が起こる可 能性は十分あると見られている。 カランガスム県だけでなくクルンクン県でも、県庁から住民に対する広報活動が活発化し ているし、またバドゥン県では火山灰の影響を懸念して住民にマスクを配布するなどの計 画が立てられている。 たまたま、今はまだ乾季の終わりで東風の季節であり、アグン山が噴火すれば塵埃や灰は 西側のクルンクン県ギアニャル県バドゥン県ブレレン県に向かう可能性が高い。そうなれ ばバドゥン県にあるグラライ空港も影響を蒙ることが懸念されている。