「ダンドゥッの復活」(2017年10月19日) 栄枯盛衰は世の習いと言う。1970〜80年代に栄華をきわめたダンドゥッ音楽は、ロ ック・ポップ・フォーク型歌謡に押されて王座から滑り落ちた。のし上がって来たダンド ゥッにそれまで固定ファンを抱えていたスンダ歌謡が追いやられてしまったのだから、歴 史は繰り返しているということかもしれない。 特に首都圏ではその現象が顕著だった。ダンドゥッステージの多くが、ポップスに衣替え してしまった。ステージ前に集まった聴衆は相変わらずゴヤン(goyang)しているのだが、 揺れ方が変わってきたようだ。 インド・アラブ・ムラユの音楽が溶け合って形成されたダンドゥッ音楽を、ジャマイカの レゲエのようにグローバル化させようとする動きがあるのだが、ダンドゥッが原産地名を 持てる音楽として確立される背景をまず整えていかなければならないようだ。 ダンドゥッに関する諸論説は これがインドネシア>現代インドネシアの覗き窓>[ ダンドゥッと地方音楽 ] http://indojoho.ciao.jp/archives/in09.html をご参照ください。 80年代を越えてからアーバンエスタブリッシュメント層の間で、ダンドゥッ音楽を卑俗 な文化産物であるように見なす風潮が強まった。ある種の文化産物をあけすけに好きだと 言うと周囲からおかしな目で見られるという、あの雰囲気だ。 都市部で肩身の狭い思いをしていても、地方部へ行けば栄華は連綿と続けられていた。た だしその中身は音楽芸術と呼べるものからかけ離れたものであり、そういう状況がかえっ てアーバンエスタブリッシュメント層の偏見を煽る要素になっていたのかもしれない。 地方部の実態(の一部)を知りたい方は、ユーチューブに「dangdut kampung hot」 「dangdut kampung vulgar」などの語を入れてサーチをかければ、その片鱗を目にするこ とができる。 ところが最近、若者層の間でダンドゥッがもてはやされている。ダンドゥッ音楽を聴くの を好むひとびとがまた増加しつつあるようだ。ニールセンが行っているラジオ聴取者測定 の2016年版で、ダンドゥッ音楽を好んで聴いている層が次のように報告された。 Z世代(10〜17歳) 17% ミレニアル世代(24〜34歳) 33% X世代(35〜49歳) 41% ベビーブーマー(50〜64歳) 31% サイレント世代(65歳超) 13%