「肥満男子が急増中」(2017年10月30日) 過去40年間に世界の5〜19歳の肥満は四倍増した。おまけに男女別では、肥満男子が 肥満女子を圧倒するようになってきている。ランセットジャーナル最新号によれば、20 16年の肥満児は1億2千4百万人おり、更に太りすぎが2億1千3百万人いた。その過 半数は男子だった。 北米や地中海沿岸の先進国ではもともと肥満児の比率は高かったのだが、過去40年間の 増加は緩く、たいした変化が見られない。一方、昔は発展途上国で今ではアッパーミドル 経済国に入っている諸国では、増加の度合いはきわめて顕著だ。 インドネシアでも、その世界的な傾向は守られている。過去40年間に肥満比率は男子が 33倍、女子は18倍になった。2006年までは女子が男子の上を行っていたのだが、 それ以後は逆転し、差は開く傾向にある。2013年保健省基礎保健調査は、5〜12歳 児童の体重過剰率は18.8%であり、昔は高所得家庭の子供がメインを占めていたが、 今ではロワーミドル層の家庭も、地方部の家庭も、太りすぎの子供を輩出している。 太りすぎや肥満の子供たちの増加は、いくつかの要因が関わっていると見られている。経 済力がついてきた結果、国民の間に加工された食品を摂取する傾向が高まった。食品加工 産業はおいしくてよく売れる商品を市場に出してくる。毎日それを食べれば健康によくな いかもしれないが、それは消費者が決めればよいことだ、と産業界は見ている。 あまり身体を動かさず、またスポーツもたまにしかしないライフスタイルが普通になって きている。さらに、しっかりと肉がついて恰幅の良い体つきを世の中の成功者と見なす社 会的価値観もひとびとを太りすぎに向かわせている要因だ。都会へ出稼ぎに行った子供が 痩せた姿で帰ってくれば、親は子供を放そうとしないだろう。反対によく太った姿で帰っ てくれば、実情がどうあれ、都会で成功しているのだと考える。子供にとってはそれが親 孝行になるというものだ。結婚した者も同じような評価の眼鏡で見られることになる。 過去40年間におけるインドネシアの子供の肥満率の推移は次のようになっている。 年 男子 女子 1976 0.5 0.8 1981 0.7 1.2 1986 1.2 1.9 1991 2.1 2.9 1996 3.5 4.3 2001 5.7 6.3 2006 8.6 8.6 2011 12.2 11.2 2016 16.4 14.2