「カード支払時の費用負担はなくせ」(2017年12月12日)

インドネシア銀行は2017年6月21日に「ナショナルペイメントゲートウエイ」に関
する中銀規則第19/8/PBI/2017号を定め、6月22日に法務人権大臣がその施行を命じた。
規則の内容は施行当日から有効となった。

キャッシュレス時代を推進させるための基盤となる詳細規定の中に、デビットカードによ
るマーチャントへの支払い時に発生する費用、マーチャントディスカウントレート(MD
R)の規定がある。消費者が店(マーチャント)に対して支払いを行うとき、EDCでデ
ビットカードを読み取ると銀行はMDRを差し引いた金額をマーチャントに与えるという
システムだ。これは銀行が設けたインフラの使用に関わる費用回収という意味合いを持っ
ていて、その費用徴収は従来から各銀行が独自に行っていた。実際には各銀行が個々に割
引率を決めていたのを、中銀がもっと低率にして標準化したというのが今回なされた制度
化ということになる。

中銀の規定によれば、当該銀行のEDCでその銀行のデビットカードが読み取られる場合
(on usと呼ばれる)MDRは一回につき取引高の0.15%、他行発行のデビットカー
ドが読み取られる場合(off usと呼ばれる)は1%となる。これまでoff usのケースでは
2〜3%が普通だった。


インドネシア銀行はこの新制度を早く実行に移すよう呼びかけるため、12月7日にその
規定に関する説明を報道界に対して行った。説明の中で重点が置かれたのは、その費用徴
収はマーチャントと銀行の間でのみ発生するものであり、消費者からの費用徴収は行われ
ない、という表明だった。その意図に沿えば、マーチャントが銀行に取られる費用を消費
者に付け替えることも厳禁される。もしそのようなことが行われたなら、消費者はその費
用追加を拒否するように、とインドネシア銀行側は言明した。またそのようなことを行っ
た店に対しては、EDCの使用を禁ずる措置を取る、とも述べている。

しかしオンブズマンは今回制度化されたその内容について、MDRを公認し固定化するこ
とは結局のところ、消費者の利益を損なうものである、という表明を出した。銀行とマー
チャント間の支払い割引がまったく行われていない国がたくさんあるにもかかわらず、イ
ンドネシア銀行の方針はそれに逆行するものであるとのこと。

販売店が消費者に対して露骨な付け替えをしなくとも、経費の発生は経費率を高めて価格
に影響を及ぼすから、カードを使おうが使うまいが支出金額は増加する、というのがその
ロジックだ。

銀行界はMDRに関する新制度の開始時期をそれぞれ独自にマーチャントに対して通知し
ている。