「再びオランウタン殺害事件」(2018年02月22日)

2018年1月に中部カリマンタン州で空気銃弾を浴びた首なしオランウタンの死骸が発
見されたのに続いて、18年2月3日に東カリマンタン州東クタイ県トゥルッパンダン村
のパイナップル畑で全身に大量の空気銃弾が刺さっている瀕死のオランウタンが発見され
た。

年齢5〜7歳と見られるオスのオランウタンはボンタンのPKT病院に運ばれて治療され
たが、手当の甲斐なく5日の深夜午前1時ごろに死亡した。全身に刺さっていた空気銃弾
は48発摘出されたものの、まだまだ数え切れないほどの銃弾があり、おまけに10カ所
ほどの刀傷があって左脚はほとんどちぎれかかっていた。

検死解剖が行われた結果、全身の空気銃弾は130発で、そのうち74発が頭部にあった。
目の周辺に何発もの銃弾を受けて失明していたと見られている。胃と腸からは、パームヤ
シの実とパイナップルの実が見つかっている。

空気銃弾の数を138発とレポートしている記事もあり、どちらが正確なのか不明だが、
検索にヒットしたページ数は130発が圧倒的に多いので、それに従っておく。


州警察と州警東クタイ署が捜査の末に容疑者を逮捕したことを2月18日に発表した。逮
捕された5人の男性はM36歳、A37歳、R37歳、N54歳、H13歳で、かれらは
トゥルッパンダン村の住民だった。パームヤシ畑とパイナップル畑を持つ農民のMが、畑
を荒らすオランウタンに怒りと憎しみを抱いていたのだ。

2月3日朝、Mが作物を見回りに出た時、荒らされた作物と、そして樹上にいるオランウ
タンを見て、空気銃を撃った。オランウタンが逆襲してくる気配を感じたMは隣人のNに
応援を求めた。Nは息子のR、婿のA、孫のHを誘ってMの応援に出動した。出動部隊は
空気銃二丁と鉈をそれぞれ持って現場に駆け付けると、オランウタンに銃撃の集中砲火を
浴びせたのである。オランウタンはたまらずに逃げ出したが、かれらは追撃の手を緩めな
かった。

銃弾の多さから警察は、オランウタン襲撃に使われた空気銃はもっとあり、つまりは加勢
した村民が他にいたのではないかとの疑念をまだ抱いており、聞き込みを続けている。空
気銃が何丁だったにせよ、発砲された銃弾は二箱半だったようだ。

クタイ国立公園に生息しているオランウタンは1,937頭しか残っていないと見られて
おり、保護動物と人間のコンフリクトはかつてのスマトラ島の象や虎からカリマンタン島
のオランウタンに移って来た観がなくもない。

犯人には天然資源エコシステム保護法と刑法が適用され、5年以下の拘留と最高1億ルピ
アの罰金刑が求刑されることになる見込み。