「フィアンセを殺害して焼く」(2018年05月11日)

2018年5月3日に家族から捜索願いが出されていたローラさん41歳と見られる遺体
が、5月4日朝、タングラン県カランセラン村の海岸で発見された。波の上を浮遊してい
た遺体は引き上げられて、タングラン総合病院へ検死のために送られた。

警察の発表によると、遺体には腹部・胸部・背中に刃物の刺し傷があり、また全身がはな
はだしく火傷を負っているため、殺害犯が身元を分りにくくしようとして遺体を焼いてか
ら海に捨てたのではないか、と見て捜査を開始したとのこと。

海岸近くに住む地元民の証言によれば、3日夜中ごろ、遺体が発見された場所に白色乗用
車アギヤが停まっており、数人が何かを燃やしている光景が見られた由。その海岸へ遊び
に来る行楽客は夜になると、寒さをしのいだり蚊を追い払うために木を燃やす者が多いこ
とから、地元民は何ら不審を抱かなかったそうだ。


ローラさんの自宅は中央ジャカルタ市ガンビル郡北プトジョ町アライドルス通りにあり、
そこで一人暮らしをしていた。母親とは死別し、父親と兄がよくその家に泊まりに来てい
た。警察はその家を家宅捜索し、ローラさんの部屋がはなはだしく乱れている上に血痕が
あったことから、ローラさんは自宅の2階にある自分の寝室で殺害されたことが明らかに
なった。

このローラさんの家にはしばらく前からまだ若い男性が出入りしており、夜にもときどき
泊まっていたことを近隣住民はみんな知っている。警察はその情報をもとに、第一容疑者
と目されるステファヌス25歳を取り調べることにした。

ローラさんの父親と兄はローラさんとステファヌスの関係を知っていたが、ローラさんが
家族に「自分たちは結婚する。」と語っていたため、ふたりはローラさんの意向を尊重し
たようだ。挙式は18年8月に執り行う予定だった。


5月4日夜、警察はステファヌスを西ジャカルタ市タンボラ郡プコジャン町の自宅で逮捕
し、連行して取調べを開始した。ステファヌスはオンラインタクシーの運転手をしており、
ローラさんとは肉体関係を持っていた。ステファヌスの自供によれば、5月3日にふたり
は喧嘩したそうだ。

前回ステファヌスがその家に来て、帰るときに家の表門をちゃんと閉めなかったため、ロ
ーラさんは父親に叱られた。女ひとりが住んでいる家で無用心きわまりない。

5月3日にステファヌスが来たとき、ローラさんはステファヌスを強く叱った。母親以外
の女に口やかましく指図されて、ムッとしないインドネシアの男は稀だ。素直に非を認め
ない恋人にローラさんの怒りは燃え上がったにちがいない。そしてかの女は結婚式の費用
を全額自分が負担することについてステファヌスをなじり、何度か男を叩いた。

自分の弱みを責められた男は、ローラさんをなだめる意志を捨てて、自分の方が腹を立て
たようだ。ローラさんが包丁を手にしたのは、怒りの炎がかの女の理性を焼き尽くしてし
まったからかもしれない。ローラさんの手から包丁を奪うと、ステファヌスはローラさん
に逆襲した。4回刺したと本人は供述している。

動かなくなったローラさんを前にして、ステファヌスはパニックに陥った。死体の処理を
どうしようか・・・?ステファヌスは18歳から22歳までの仲間4人をその家に呼び寄
せた。そして衆議の結果、死体をどこかへ運んで燃やし、証拠隠滅を図ろうということで
一致した。

男尊女卑社会は、男の叱責を受け入れても、女の叱責は理非なしに自分への侮蔑と感じる
男を作り出すことがあるのを忘れてはなるまい。