「発展するパプア国境」(2018年06月27日)

島国のインドネシアにも陸上の国境線があり、国境通過ポイントが設けられてイミグレー
ションや検疫のサービスが行われている。パプア州ジャヤプラ市ムアラタミ地区(Distrik 
Muara Tami)のスコウ(Skouw)ポイントもそのひとつだ。

ここは壮麗で立派な国境通過ポストが設けられて2017年4月9日にジョコウィ大統領
がオープニング式典を行った。それ以来、たくさんのパプア住民がその施設見物にやって
くるようになり、今では週に3千人がそこを訪れている。隣国のパプアニューギニアに向
けて出国する目的でなく、国境通過地点で愉しむためにそこへやってくるのだ。

もちろんそこには昔から国境通過の手続きを行う施設が設けられていた。2017年には
じめて開かれたわけではない。スコウにパサルがあるため、昔は毎週火・木・土の市日に
パプアニューギニア国民が買物のために入境(つまり入国)して来た。だからスコウにや
ってくるひとの数は週に1千人には上っていた。それが今や、壮麗で立派な施設ができた
ために、国内外から週3千人がスコウにやってくる。

スコウ国境通過ポイントでは面積10.2Haの土地に10軒の施設が建てられた。ジャ
ヤプラ市中心部からは50キロ離れていて、自動車で1時間から1.5時間かかる。この
通過ポイントではただ出入国管理のための行政サービスが行われているばかりか、手工芸
品販売センターやローカル料理も味わえる食堂街まで備えられ、観光客の訪問を歓迎して
いる。

おまけに国境線という、大自然の中に人間が築いた境界線が存在するおかげで、異国とい
う人間の好奇心をくすぐる情緒を味わうことまでできる。ジャヤプラ近隣諸所の住民は、
週末になるとスコウに行楽を求めてやってくる。食堂で食事し、土産物を評価し、右往左
往している大勢のひとびとの姿を眺め、祭の雰囲気を嗅いで、週末を存分に愉しむのだ。

家族連れでやってきたあるお母さんは、「この施設は素晴らしいですよ。」と親指を立て
る。「この通過ポイントの中を巡回バスが走れば、もっといいのに。そしたらパプアニュ
ーギニアとの国境線まで楽に見に行けますからね。あそこまで1キロくらいあるので、小
さい子供連れで歩いて行くのは毎回というわけに行かないですから。」

スコウのパサルは今、大改装工事中だ。年内にモダンで立派な建物に変身して再開される。
総面積2.5Haのスコウ市場は建物内に304カ所の売場、建物外に50カ所の売場が
作られ、駐車場は1千台の四輪車が収容できる。

州庁国境経営対外協力局長はスコウを経済発展センターのひとつに位置付けている。行楽
観光活動とパサルでの対パプアニューギニア向け輸出振興だ。隣国住民が訪れて品物を買
って帰ることから、より大量に仕入れて隣国内で再販することまで、ここでは輸出という
概念が使われている。