「都内交通規制が拡大(終)」(2018年07月04日) ジャカルタで18年8月から9月2日まで行われるアジア大会における出場選手を会場に 運ぶための交通の確保を第一の目的とする今回の交通規制拡大トライアルは言うまでもな く、8月1日からの公式実施につなげることが行政側の最優先目標となっている。 だがそのアジア大会が終わったあとの永続性については、疑問視する声もある。もしも社 会的な影響が予想外に悪かった場合、「お客様のためにみんなで我慢しよう」というセリ フはお客様が帰ってしまえばもう通用しないのだから。 一方都民の中からは、しばらく様子見をする姿勢を執るという声も聞こえている。今回の 規制拡大で自家用車通勤を諦め、公共交通機関に移るひとが増えるだろうが、自分は違う、 という意見だ。 ポンドッキンダ地区に勤めるパサルミング在住の都民は、「迂回路や裏道を通れば渋滞は もっと凄まじいものになっているだろうし、公共運送機関もいつまでも快適さが向上しな いために乗る気がしない。」と語る。 都庁がいくらバスを増やすと言っても、バス内のぎゅうぎゅう詰めは変わらないだろうか ら、当面はオジェッやタクシーを使って様子見をするとの話だ。 類似の話は中央ジャカルタ在住の別の都民からも聞かされた。たとえばシンガポールで住 民が公共運送機関を利用しているのは、住居とバス停があまり離れておらず、乗合運送機 関の網の目が町の隅々にまで及んでいるからであり、そうなっていないジャカルタで同じ ようなことをしようとすると、多くのひとは何キロもの距離を歩かなければならなくなる、 とそのキャリアレデイは語る。 「会社はスディルマン通りにありますが、スディルマン通りでいま歩道工事を行っている ため、トランスジャカルタバス停に行くのがとても不便になっています。一方、家からト ランスジャカルタバス停までは1キロ以上あるんです。いくらトランスジャカルタバスが 快適になり、運行速度が改善されても、通勤というトータルの中の一部分なのですから。」 ジャカルタがシンガポールの後を追えるようになるまで公共運送に快適さを求めるひとび とは自家用車使用に固執し、それをワガママ視する行政が振るう鞭打ちの火花が路上に飛 散する日々はまだまだ続きそうだ。[ 完 ]