「15万人が無報酬労働」(2018年07月09日)

家族主義文化の色濃いインドネシアでは、ファミリーメンバーは他のメンバーを庇護支援
するのが当たり前という観念も強い。その結果、メンバーのひとりが行うビジネスをみん
なが寄ってたかって助けるということも、ごく日常的に行われている。

この種の労働は普通、無報酬である。賃金を払って他人を雇うだけの経済規模になってい
ない段階ではそれも仕方ないとはいえ、他人を雇えるほどのものになっても、依然として
無償で手伝いをしているケースも頻繁に見受けられる。

もちろん人間の絆というものは血縁関係だけでつながっているわけでもなく、血縁でなく
て情でつながっているケースも多々見られる。賃金や物品の報酬など期待せずに他人を手
伝うことも行われているこのインドネシア文化というのは、そこだけ見ればきわめてウエ
ットなものだと言えるにちがいない。

更には徒弟制度のようなものさえ残っている面もあり、技術を身に着けるために寝食をあ
てがってくれる親方の世話になり、その仕事を無給で手伝う者もある。

昔からインドネシアで一般的だった、都会の住民が田舎の親戚の少女を預かって自宅で家
事手伝いをさせるというケースも、全廃されているわけでもない。


中央統計庁が行っている国民労働力サーベイ2017年版によれば、首都ジャカルタの労
働人口450万人中で、無報酬勤労者は151,166人いた。その前の6年間は常に2
0万人を超えており、2013年は30万3千人という数字だったから、大幅な減少が起
こっていると言えるにちがいない。

その15万人が何をしているかと言うと、次のような内訳になっている。
技術者や専門職など 1,310人
事務職 5,359人
セールス 91,457人
サービス業 24,059人
製造作業・肉体労働・自動車運転など 28,981人

また性別と居住地別明細は次の通り。
男性 51,133人
北ジャカルタ市 19,309人
西ジャカルタ市 10,646人
中央ジャカルタ市 5,323人
東ジャカルタ市  7,523人
南ジャカルタ市  8,114人
プラウスリブ県    218人

女性 100,033人
北ジャカルタ市 33,534人
西ジャカルタ市 22,087人
中央ジャカルタ市10,825人
東ジャカルタ市 11,545人
南ジャカルタ市 21,966人
プラウスリブ県     75人