「葉巻(終)」(2025年12月17日) 2011年ごろのタバコ葉輸出価格はフィラー用がキロ当たり3〜5米ドル、バインダー 用8〜10米ドル/KG、ラッパー用20米ドルという値が付いていた。そうではあっても、 タバコ産業の将来に悲観的になった農民は収穫不良を潮時と見て生計の方針を転換するか もしれないのである。ところがタバコ産業がそう簡単に未来を失ってしまうようにも見え ないのだ。 ジュンブルのタバコ葉栽培の経営にあたっている国有第10ヌサンタラ農園会社は輸出向 けに昔から葉巻を生産していた。しかし、しばらく前から世界の葉巻市場に変化が起こり、 大型葉巻からシガリロと呼ばれる小型葉巻へのシフトが顕著になってきた。2009年か ら同社はシガリロの生産を開始して5千万本を輸出した。それが2014年には2億5千 万本に膨れ上がったのである。そのうちの2億4千万本はドイツ・デンマーク・オランダ ・スペイン・イタリア・フランスなどの西ヨーロッパ諸国、そして1千万本が中国に船積 みされた。 ビッグシガーと呼ばれる大型の葉巻からシガリロへの市場の変化はライフスタイルファッ ションがもたらしたものだと第10ヌサンタラ農園会社タバコ葉部門長は述べている。同 社の葉巻輸出は昔から西ヨーロッパにもっぱら向けられていたが、中国の経済成長が著し いことから、市場の多様化を推進するために同社は中国向けのマーケティングを開始した。 中国では経済成長にともなってミドルクラス層が厚みを増している。中国では少なくとも 国民の30%が喫煙者と見られており、厚みを増したミドルクラスがこれまでのシガレッ トからシガリロに嗜好を移しているため、同社の輸出先として大いに期待されているので ある。 中国からの要求はブリキのパッケージを使う点がヨーロッパと違っていると部門長は語っ た。ヨーロッパは紙製で十分なのだそうだ。中国のタバコ販売は基本的に国の専売事業に なっており、個別の地方でその領域内に限定して販売会社が輸入許可を得て流通させるシ ステムが運用されている。 そのために個別地方の販売会社のエージェントを貿易取引の相手にせざるを得ないので、 マーケテイング効率がよくないという難点を感じている。そのバリアーを克服するために 同社は国家間協定を結んで専売会社と直接取引できるようにインドネシア政府商業省にコ ーディネーションを求めているとかれは状況を説明している。 ジャワ島中部のヨグヤカルタもタバコ葉の産地であり、オランダ時代から葉巻生産が行わ れていた。州立会社タルマルタニは1918年以来葉巻生産を行っている東南アジア最古 の葉巻製造会社であり、14種類の葉巻を年間5百万本生産してそのうちの7割をオラン ダ・ベルギー・チェコ・米国・フランス・スイス・オーストラリア・一部アジアや中東諸 国に輸出している。 オランダ植民地時代に民間資本の葉巻製造会社Negresco株式会社がジョクジャに設立され、 1942年の日本軍インドネシア占領に伴って日本軍が接収してジャワ煙草工場と名を替 えた。1945年にインドネシア政府に移管され、最終的にジョクジャ特別州の所有に収 まった。この会社は2015年に事業多様化を開始し、練炭の生産と輸出、またカフェビ ジネスも行っている。[ 完 ]