「pecinanはジャワ語(2)」(2026年02月20日) ジャワ語ではpe+Cina+an = pecinaanの語尾の二重母音が単母音に変化する。インド人ム スリムを指すKojaもpe+Koja+an → Pekojanというジャカルタの地名になって遺されてい る。それらの他にも saba → sabaan → saban や blanja → blenjaan → blanjan など の例がある。 母音を語尾に持つ語幹に接尾辞-anが付くとき、そこにできる二重母音が単母音に変化す る特徴をジャワ語は持っているようだ。たとえばburuという言葉がある。 KBBIに記されたインドネシア語としてのburuの語義はmengejar atau mencari(追い かける、探す)となっている。ジャワ語辞典にも似たり寄ったりの語義が見られる。イ_ ア語日語辞典がどうなっているのかを見ると、KBBIに記された語義を直訳している傾 向が感じられるものの、中に「狩る」という日本語を対応語に選択してあるものが見られ る。日本語「狩る」の語義は「追い立てて捕らえる」「捕らえるために探し回る」なのだ から、語義の共通性に従ってburuと狩るをマッチングさせるのは妥当な姿勢だろう。 KBBIでは、接尾辞-anを付けて対象物を示す用法にしたがって作られた派生語buruan の語義を: 1. binatang yang diburu(狩られる動物) 2. orang atau penjahat yang dicari polisi untuk ditangkap (buronと同義) (警察が捕まえようとして探している人間) としているだけで、terburu-buru, tergesa-gesaの意味で使われる口語のburuanの意味は そこに記されていない。その用法をKBBIは標準インドネシア語と認めていないのだ。 口語のburuanをよく使っている方は使う相手と場を狭める方がよいかもしれない。 そこに出て来るburuanと同義語のburonについてKBBIはその語義を: 1. n orang yang (sedang) diburu (oleh polisi) 2. n orang yang melarikan diri (karena dicari polisi) と解説している。 buronという語はburuanの第二語義と同義なのであって、第一語義とは異なっているとい うことに注意する必要がありそうだ。buronという語は人間に対してだけ使われ、動物に は使われないのである。 さて、buruanとburonの関係に着目するなら、語幹末尾の/u/と接尾辞-anがつながってで きた二重母音/ua/が単母音の/o/に変化したプロセスをわれわれは察知することになる。 これはジャワ語に特徴的な音韻変化システムのひとつなのだ。同じプロセスでできた例は 他にも: ewu → ewuan → ewon ratu → keratuan → kraton prabu → kaprabuan → kaprabon などがある。 では、語幹の語尾が/i/の場合はどうか。われわれはこのような例を知っている。 duri → durian → duren saji → sajian → sajen santri → pesantrian → pesantren putri → keputrian → kaputren bupati → kebupatian → kabupaten 接頭辞ke-がka-に、pe-がpa-になるケースはジャワ語やスンダ語にたくさん見られる。 [ 続く ]