「嘘と間違いだらけのネット情報ほど人気高」(2016年12月08日) ソーシャルメディアネットワークに流通しているニュースのほとんどは、タイトルが曖昧 で大げさで安っぽい。そして致命的なのは、そこに盛られている内容が確認も裏付けも無 視された虚偽情報で満ちているということだ。 「それが事実なのだ。われわれのデジタル社会の性格はそんなものなんだ。」と語るのは ソーシャルメディア専門家ヌッマン・ルッフィ氏。 「たとえばhttp://buzzsumo.comのサイトを見れば、ソーシャルメディアで流れているニ ュースがどれほど大げさなタイトルに飾られているかがわかる。そんなニュースほど人気 が集まる。たとえばキーワードに三人の都知事選立候補者の名前を入れて検索をかけ、そ のシェアの合計数を見てみればいい。正体不明のポータルや犯罪メディアのシェアがいっ ぱいだ。そんな現象はインドネシアに限ったものではない。似たような国は他にもある。 アメリカの大統領選投票日が近づいたとき、アメリカのソーシャルメディアを埋め尽くし たのが騙しニュースだった。教育レベルの高い先進国ですら、デジタルリテラシーはそん なもののようだ。 ソーシャルメディアで配布されるコンテンツの59%はチラリと見るだけで、開かれるこ ともない。オンライン読み物のほとんどはスキミングとスキャニングになっている。そん な傾向のために、主流のメディアもビジネス保全のために大げさなタイトルをつけて読者 を引き付けようとするようになる。反対にシリアスで内容の深いコンテンツに、大衆は目 を向けなくなってしまう。」 そんな状況を正していくために、影響力を持つひとがデジタルリテラシー使節となってソ ーシャルメディアに登場する必要があるとヌッマン氏は呼びかける。大衆が大量の虚偽情 報にさらされている今、諸方面が真剣にその対策を講じなければならない。 それだけでなく、ソーシャルメディアに流れている騙しニュースを摘発して正しい情報を 世の中に発信する情報センターを作らなければならない。国民が適切で正しいニュースを 選択するために、この種の情報センターはたいへん有意義な役割を果たすことになる。 教育文化省R&D庁教育評価センター長はこの21世紀の国民教育において、学習とイノ ベーションおよびライフスキルと勤労技能だけを修得させるのではまだ足りない、と語る。 デジタルリテラシーは今や不可欠な能力になっている。ところがインドネシア国民は依然 として読書ぎらいだ。中央統計庁のサーベイでは、国民の90.3%はテレビを見るほう を好み、読書が好きというひとは18.9%しかいない。 ユネスコは2012年に、インドネシア人の読書インデックスは0.001だと発表した。 読書好きは1千人にひとりしかないことを、その数値は意味している。 そういう問題を抱えながらも、国民社会がデジタル社会になった以上、国民のデジタルリ テラシー向上に国は努めなければならない。その進度測定を行うために、リテラシーイン デックスを設けて毎年結果を公表するようにしてはどうか、とのアドバイスも出されてい る。