「タウラン好きの若者たち(4)」(2017年01月12日)

学校生徒のタウランは、ついに中学校から小学校へ降りて来た。11月24日、スマラン
市内アルホティマ小学校生徒22人が刃物や凶器を持って殴り込みをかけようとクプンデ
ン小学校前にやってきたのを警備員がとがめた。すると子供たちは一斉に逃げ出したが、
警備員はそのうちの二人を捕まえることができた。ふたりはアルホティマ小学校4年生1
1歳と2年生8歳だった。ふたりは短剣クリスと鉄片を装着したベルトを持っていた。

そのふたりはスマラン市警本部に連行され、取調官が事情を聴取した。それによれば、仲
間のひとりの誕生パーティのために市内のモールに行ったが、そのあとでみんな一緒にク
プンデン小学校へ来た、という話だ。刃物や凶器については、池で魚を取るために持って
きた、というような話しをしたらしい。

ふたつの小学校の教員や管理者が集めた情報では、最初クプンデン小学校の生徒が揶揄侮
蔑の言葉を投げたらしい。双方の校長によれば、これまで生徒の素行問題は何ひとつなか
ったそうで、今回の事件については半ば呆れ顔だった。だが小学生が武器凶器を持ってタ
ウランする事件はちらほらと各地で起こっており、学校側は生徒の親に対して、登校下校
時の責任は親や保護者にあるのだから、下校する生徒の身柄の管理をもっと明確に行うよ
うに、と要請した。インドネシア文化にある男の価値観がいかに強いものであるかを、小
学生タウランは雄弁に物語っているように思われる。


さて、かれらの先輩たちである中高大学レベルから20代前半といった年齢ブラケットの
若者たちは、タウランから一歩踏み出してゲンモトル(geng motor =オートバイギャング、
gengは英語のgang)を編成する傾向が高まっている。暴走族と一見似ているように見える
が、路上で勇ましくツッパリを示すような迷惑行為などでなく、もっと勇壮に他人を叩っ
切ることを目指してグループで襲い掛かって行く。かれらの行為をわたしはやはり、自分
のオトコを顕示するための行動であるように感じている。だから、恨み・憎悪・復讐など
といった要素の有無など無関係で、たまたまかれらに敵と位置付けられた人間が襲撃の対
象となり、生命や健常性を破壊されることになる。そのときに金やオートバイなどを奪わ
れるケースがあっても、たいていの場合それは余得行為であって、それを目的としたもの
でないほうがマジョリティであるようだ。[ 続く ]