「記憶力から思考力への試練」(2017年01月27日)

学校での学習時間が長いほど生徒が優秀になるというものでは決してない。インドネシア
の生徒たちは年間1,095時間の学習時間数を与えられているが、2015年PISA
結果を見ると参加72カ国中でインドネシアは64位にいる。第2位にいる日本の年間7
12時間と比べてみればよい。年令15歳の生徒に同じ問題を与えて国別の差を調査する
PISAテストでちなみに日本は、科学538、読解516、数学532ポイント、イン
ドネシアは科学403、読解397、数学386ポイントだった。TIMSS調査でも、
似たような結果が出ている。


その状況について教育評価センター長は、インドネシアの生徒は記憶を引き出す問いに対
する解は優秀だが、応用問題や論理力を必要とする問いに対しては点数が低い、とコメン
トした。「学校での学習は学んだことの復習とテストに費やされ、論理力を育成するに至
っていない。修業国家試験もさまざまな負担が付け加えられている。各教科の学習は知識
の獲得を目的としているのでなく、能力を涵養することにある。21世紀に必要とされて
いるのは科学・数学・読解・テクノロジーという基本リテラシーならびに、批判的・創造
的な思考、コミュニケーション、コラボレーション、人格の獲得なのだから。」

センター長はさらに、解決を急がれている問題が存在していることを指摘する。教員クオ
リティの問題がそのひとつ。生徒が解けない問題を教員も同じように解けないため、生徒
はいつまでも解き方がわからない。更には学校と管理の問題、そして父兄の側にある問題。
それらを一致協力して解決していかなければ、状況の改善はおぼつかない。


2015年のTIMSS調査では、そのとき中学8年生の生徒が小学4年生のときから4
年間にどれだけ能力が向上したかが測定された。数学のスコアは397ポイントで50ヵ
国中の45位、科学部門では48ヵ国中で45位だった。グラフ/表データを使う論理問
題の正答率はわずか4%しかなかった。

教育評価センター研究員は生徒の能力について、日常生活のコンテキストに沿ったものや
ルーチンで行なう性質のものについてはより高い得点を得ることができるが、さまざまな
情報源からの解釈を求められる問題には弱く、結論を導き出すことがむつかしい、とコメ
ントした。

「そのため生徒にもっと質問させるための訓練を教員に施し、同時に高度な思考能力を磨
くための問題の作り方をも指導している。教員にとって決して容易なことではないものの、
教室内でそれが普通になるようにしていかなければならない。」

別の研究員は小学5年生に対して今年行われた全国アセスメントプログラムの調査結果に
ついて、高度な思考能力の弱さが明白に反映されていることを指摘した。生徒には非ルー
チン的な問題や模型などの教具を使った学習に慣れさせること、および教育に対するそれ
に即した学習メソッドと論理能力評価法の開発が必要であることを、かれは主張している。