「バニュワギはマルチ文化県(前)」(2017年01月30日)

バリ島と海峡一つで境を接しているジャワ島東端のバニュワギ県は2017年の観光催事
として72のフェスティバルを開催する計画。2016年に3百万人の観光客誘致を実現
させた同県は、72件のフェスティバル実施を通して更なる観光客数増加を狙っている。
しかし3百万人のうちの270万人が国内観光客であり、外国人観光客は10%しかいな
い。

現在バニュワギ県のブリンビンサリ空港はスラバヤとバリだけにつながっている地方空港
でしかなく、外国人観光客のひとつの玄関口であるバリ空港だけでは足りないとして、も
うひとつの玄関口であるジャカルタのスカルノハッタ空港との間に今年4月から国内線を
運航させるべく準備が進められており、その実現によって外国人観光客の比率が増大する
よう期待されている。

2017年に開催される72のフェスティバルの中には、例年の行事として定着した催し
も含まれている。今年の日程は次のようになっている。
Banyuwangi Beach Jazz Festival 9月2日
International Tour de Banyuwangi Ijen 9月27〜30日
Jazz Ijen 10月6〜7日
Festivel Gandrung Sewu 10月8日
Banyuwangi Ethno Carnival 11月11日


バニュワギ県がそれほど多種多彩なフェスティバルを開催できる能力を支えているものの
ひとつに、この地が文化の混合体であるという側面を挙げることができるにちがいない。

何百年も昔、たくさんの種族がバリ海峡を通商や同盟のために通過した。通過するだけで
なく、かれらは海岸に停泊し、仮寓し、代々そこに住み着いた者さえいた。数百年を経た
今、ひとびとは海の民の名残を抱きつつ、ひとつの地縁コミュニティの中で共存している。
ルボプンカサンと呼ばれているイスラム暦サファル月の最後の週に、バリ海峡では地元民
の帆船レースが行われている。生きる糧をもたらしてくれる海への奉納と祭り、そして帆
船レースは娯楽としての催しのピークを飾るものだ。

カンプンマンダルから、バリ島側のギリマヌッから、サンテン島から、あちこちからやっ
てきた漁民たちは、バニュワギの海岸一帯で地元のジャワ族や多数派外来者のマドゥラ族
・ブギス族たちと一緒になって和気藹々とレースを行う。

バリ海峡に臨むバニュワギ県東海岸の漁村はマルチ文化地域だ。上述の諸種族が共存し、
肩を並べて日々の暮らしを営んでいる。言葉と仕事の内容がかれらの身元を示してくれる。
たとえばマドゥラ族は漁夫として海に出て、財を築けばバニュワギ固有のスレレッ船を持
って船主となる。ブギス族は概して小さめの船で漁をするが、中には大型船も混じる。ジ
ャワ族は水揚げを船から市へ運ぶ人足をする者と、船でかなり南方に下って漁をする者が
いる。[ 続く ]