「過激派は女性と子供を奪う(後)」(2017年02月21日)

テロオブザーバーのアル・ハイダル氏は、「女性は、家族をはじめとして、自分が所属し
ている環境内の男性がもたらすラディカリズムにきわめて影響されやすい。女性は間違っ
た宗教理解によって純粋に死の花嫁となることを善と考える。男性はそうでなく、ジハー
ドでの死は天国の天女が約束されているという観念がモチベーションを与えている。」と
分析している。

女性や青少年がラディカル化する誘因は家族だけでなく、社会環境も見逃せない。201
5年1月のニューヨークタイムズに掲載された「女性がテロリストになるとき」と題する
記事の中でジェーン・ハッカービーは、ラディカルグループが女性をそのネットワークに
からめとる際に利用するメインファクターは女性が社会に対して抱く疎外感である、と書
いている。

ディアン・ユリア・ノフィ27歳が自爆テロを行おうと決心した裏側にも、そのファクタ
ーが存在していた。シンガポールと台湾に出稼ぎ労働者として暮らした日々は疎外感に満
ちたものであり、かの女はフェイスブックから日々の慰めを得ていた。自分に関心を持っ
てくれるひととしてかの女が結婚に同意したソリヒンは、実はバフルン・ナイムの直接の
指揮下に、かれの花嫁でなく「死の花嫁」を入手するのに努めている男だったのだ。


女性や子供をリクルートすることは、ダエシュにとって優先度の高いミッションである。
「イスラミストフェニックス:ISISと中東地図の書き換え」(2014年)を著作し
たロレッタ・ナポレオニは、その方針はローマ帝国を模したものである、と述べている。
帝国にせよ、カリフ国にせよ、女性と子供は未来への存続を保証する絶対条件だ。それは
アルカイダにとっても同じことだ。

最初に領土を獲得したとき、ISISはまず妻にするために女性を求めた。その妻が子供
たちを戦士に訓練するのだ。男はいつ戦場で倒れるかもしれないが、自分たちのイデオロ
ギーと戦いを子供たちが引き継いで行くから、ISISが消滅するのを心配しなくてもよ
い。

女性や子供を使うテロはインドネシアでまだ新しい。国家警察広報部長は「それはかれら
が世間や治安要員から疑われないからだ。」と述べている。

ラディカルグループが女性や子供を網にかける戦略を開始したことを、上述の現象は示し
ている。女性や子供がラディカルグループに吸い寄せられて行くなら、われわれの損失は
きっと膨大なものとなるに違いあるまい。[ 完 ]