「ホウクスがインドネシアの弱点(1)」(2017年03月13日)

スタラ研究院のデータによれば、2016年に発生した信教の自由に対する違反は208
件あり、調査された24州で270回の違犯行動が行われた。西ジャワ州が最多の41回、
次いでジャカルタ首都特別区31回、東ジャワ州22回と続いている。

スタラ研究院は2007年からこの調査報告を出しているが、その期間で2008年から
2012年がピークだったにもかかわらず、2016年は過去10年間の最高に達した。
政府は早急にこの状況への対応を進めなければならない。放置すれば、統一民族の基盤を
粉砕する、いつ破裂してもおかしくない爆弾となるからだ、と研究院副理事長は語る。

国民の不寛容姿勢と不寛容行動が39%上昇しており、そして国民の名において不寛容を
リードする者たちが大衆組織内に跳梁し、ストリートジャスティスが頻発して法執行機関
の制御が失速状態になっていることをうかがわせる様相が社会に広がっていることなど、
いくつかの現象がその懸念を強めている昨今である由。

270回の違反行動のうち140回は行政が関与している。あとの130回は国民が個人
として、あるいはグループとして行ったもの。ジョコウィ=JK政権下の2年間、信教の
自由を国が保護し保証するという原理に関連する新しい政策は何もまだ行われていない。
この宗教不寛容の拡大は都会に特徴的な現象であり、アーバナイゼーションによって村落
部からひとが都市部に移動して知識層ミドルクラスが形成されるメカニズムがその根底に
ある、とスタラ研究院は分析している。


宗教分野における不寛容とラディカリズムに関してワヒッ財団がインドネシアサーベイ機
関の協力を得て2016年3〜4月に行ったインドネシアムスリム層に対する調査によれ
ば、不寛容とラディカリズムが世の中で顕著さを増しているとはいえ、統一インドネシア
共和国の維持と信教の自由やデモクラシーの価値観は国民の間にまだ根強く保たれており、
それらの民族資本が既に風前の灯火になっているというわけでもない、との現状が描き出
されている。

ワヒッ研究院理事によれば、その調査で全国60万ムスリムが宗教の名におけるラディカ
リズム行動を行ったことがあり、1千1百万人は機会があればラディカル行動を行う可能
性を持っていることが判明している、とのこと。

「学校におけるイスラム教育に携わっている活動家の6割を超えるひとびとはジハードに
賛成しており、現在も将来もジハード行動を承認する姿勢を示している。信教の自由に違
反する行為も過去7年間に増加の傾向を示している。
この状況を克服するために、パンチャシラとビンネカトゥンガルイカの具現が今強く求め
られているのだ。」とイェニー・ワヒッ理事は強調している。[ 続く ]