「太陰暦と太陽暦は互角か?(7)」(2017年04月13日)

さてこうして[ 日⇒月⇒年 ]という暦サイクルが出来上がったのだが、人類は[ 日⇒月 ]
の間にもっと小さい単位を置いた。週と呼ばれる「とき」の単位だ。

この週という単位は日数を5,6,7,10などにしたものが考案されたが、現代世界で
は七曜制がメインストリームを占めている。 

この数日間をまとめた週という「とき」の単位を、人類は年というサイクルよりも先に作
ったそうで、その可能性は確かに大きい。年というサイクルは人類が大自然の中から発見
したものだが、週という概念は人間が創造的に作り出したものなのだから。もちろんそれ
を作り出した古代人たちは、それをも自然の中から発見したものと考えたかもしれないの
だが・・・。

七曜制がメインストリームになったのは、夜空に煌めく七つの星の威容が人類の脳髄にオ
ブセッションを刷り込んだためだ、と言語研究家サムスディン・ブルリアン氏は語る。チ
グリスとユーフラテスの両大河に挟まれたメソポタミアの地に文明が興り、シューメリア、
アッカド、バビロニア、そしてその子孫たちの興亡で作られた諸王国の神官僧侶たちがエ
ジプトへ、更に地中海のギリシャへと渡って行く中で、北の夜空の一点を巡って常にその
形を維持しながら回転している七つの巨星の存在に気付き、かれらはそれを神の賜寵と見
なした。7という数字が特別の意味を持っていることが、かれらの脳髄に浸み込んだとい
うことらしい。

主神ゼウスの娘ヘレネの名に因んでそう呼ばれるようになったグリカの民は更に進んだ文
明を打ち建てたが、かれらも夜空の観測と分析を怠らなかった。夜空に散りばめられた数
えきれないほどの星の中に、光度と動きのひときわ目立つ星がいくつかある。こうして太
陽や月を含む顕著な物体が「天空の七つの物体」として特別視されるようになる。更にそ
れらの動きが他の天空の物体と異なっていることから、それらの物体は独自の異なる層に
あるものと分析され、そのようにして天上界の七つの層という思想に結実して行った。

七つの層は地上にもっとも近いものから順に、セレネ(月)、エルミス(水星)、アフロ
ディティ(金星)、ヘリオス(太陽)、アレス(火星)、ゼウス(木星)、クロノス(土
星)とされ、ギリシャ人はそれらをプラネテスと呼んだ。放浪者という意味だ。

後世の天文学ではプラネテスが惑星と定義付けられ、月と太陽が太陽系惑星群から除外さ
れるとともに、古代人の天体観測の埒外にあった地球とウラヌスおよびネプチューンが追
加されることになる。


天空の七つの物体になぞらえられた神々が人間の運命を左右しているという信仰に従って
それらの神を崇拝する日が定められ、それが繰り返されることで週という概念が作り上げ
られていった。日‐月‐火‐水‐木‐金‐土という週日の名称はそこに由来している。

日本・中国・韓国では週日のことを曜日と呼ぶ。この曜とは「明るい」「光り輝く」とい
う意味らしい。北の夜空に煌めく七つの星のイメージがそこにまとわりついているようだ。
[ 続く ]