「SNIで国内市場をコントロールできるか?」(2017年04月13日)

日本のJIS規格のように、インドネシアにもSNI(インドネシア製品規格)と呼ばれ
る製品品質基準を定めた規格がある。品種によってSNIが義務付けられているものと製
造者の任意にまかされているものに分かれており、国民生活に重要な品種はたいてい義務
付けがなされている。

ところが、どこの国でもそうだが、こういった規格承認を得るためには金がかかる。使わ
れる部品から製造工程、そして承認を得るための手続きなどに出費がついてまわるから、
そういう対応をまったくしない不安全で品質的に低レベルの製品との間には、市場価格に
大きな差がついてしまう。

不安全で低クオリティなものは消費者が見向きもしない国ではこういった品質規格がスム
ースに進行し、消費者はたいてい価格でなく品質を優先するから市場競争の問題は品質の
高低に収束していくが、インドネシアは違う。低所得層にとって最大の問題は価格なので
あり、品質を重視する姿勢はまだマジョリティになっていない。消費者のそういうビヘイ
ビアを狙って、低所得層消費者が集まるパサルには廉かろう悪かろう商品が溢れている。
2016年に国家規格庁が全国13都市の市場で行ったランダムチェックの結果は、SN
I義務付け商品の中で合格表示のあるものはわずか46%だった。特に顕著だったのは家
電品や電線類。


現在SNI義務付け対象製品は201品目あり、家電品や電線の他にオートバイ用ヘルメ
ット、自動車タイヤ、ガスボンベ、コンロなどがある。

国家規格庁の規格実施認定担当デピュティはその問題について、生産設備の不適合・規格
認定機関の不適切な対応・製造業界への指導不足・市場監督が不充分という四つのファク
ターが原因をなしている、と語る。

「産業界を監督している工業省・農業省・海洋漁業省の現場に対する指導の向上やSNI
認定を得るためのインセンティブとして申請費用の軽減や無料化などが必要だ。」

ところがSNIが義務付けされていない任意の品種の中には、生産者が軒並みSNIを取
得しているものが少なくない。家電品の中でミキサーやブレンダーはSNI任意になって
いるが、市場でチェックしたところSNI合格表示のあるものが100パーセントを占め
た。

アセアン域内自由市場とアセアン経済ソサエティによるアセアン加盟国製品の国内市場浸
透から国民産業を保護するための障壁のひとつとなるこのSNIだが、市場をSNIで縛
ることがなかなかやりおおせていない現状からは、その目論見に大きい困難がつきまとう
であろうことが予想されている。