「太陰暦と太陽暦は互角か?(8)」(2017年04月17日)

ギリシャと古代ローマにおける曜日の名称は次のようになっている。
曜日 : ギリシャ : 古代ローマ(ラテン語)
 日 :  Helios    :  Sol
 月 :  Selene    :  Luna
 火 :  Ares      :  Mars
 水 :  Hermes    :  Mercurius
 木 :  Zeus      :  Iuppiter
 金 :  Aphrodite :  Venus
 土 :  Kronos    :  Saturnus

ラテン語系言語の中で、東南アジアに影響を及ぼした代表的なものはポルトガル語とスペ
イン語だ。
曜日 : 古ポルトガル : スペイン
 日 :  domingo         :  domingo
 月 :  lues            :  lunes
 火 :  martes          :  martes
 水 :  mercores        :  miercoles
 木 :  joves           :  jueves
 金 :  vernes          :  viernes
 土 :  sabado          :  sabado

インドネシア語とマレーシア語は基本的にアラビア語に由来している。
曜日 : インドネシア : マレーシア : アラビア
 日 :  Minggu        :  Ahad        :  al-ahad
 月 :  Senen         :  Isnin       :   al-Ithnayn
 火 :  Selasa        :  Selasa      :   ath-thulatha
 水 :  Rabu         :  Rabu        :   al-arbia
 木 :  Kamis         :  Khamis      :   al-khamis
 金 :  Jumat         :  Jumaat      :   al-jumah
 土 :  Sabtu         :  Sabtu       :   as-sabt

インドネシア語のMinggu以外はすべて横との関連性を持っている。なぜこうなったのか?
インドネシア語のMingguはポルトガル語のDomingoに由来しているそうだ。Domingoとは
Dies Dominiつまり主(神)の日ということだ。ポルトガル人のDomingoの発音は「ドミン
ゴ」だが、ムラユ式にその綴りを読ませると「ドミ+鼻音のゴ」となるため、ムラユ人に
ドミンゴと発音させるために「Dominggu」という表記がなされた。Mingguという語に転訛
したのは19世紀末ごろらしい。

ドミンゴはポルトガル人が行ったキリスト教化に深く関わっており、キリスト教徒になる
洗礼を受けた原住民たちが教会へ行く日を意味していた。
だがその来歴を知っているムスリム原住民たちはマレーシアのようにAhadを使うことを好
み、結局AhadもMingguと同じ意味を持つ単語としてインドネシア語の中に並立している。
しかし、公的書類やマスメディアもMingguを使うほうがより一般的であり、たいていのイ
ンドネシア人は日曜日をHari Mingguと称するのが普通になっている。[ 続く ]