「法治はいまだに言葉だけ」(2017年05月11日)

法曹界で同じような問題がいつまでも繰り返し発生しているのは、法治国家思想が制度の
中に定着していないからだ、と法曹界の有力者が語った。ムハマディヤ青年組織が開催し
た討論会で法律家トドゥン・ムリヤ・ルビス氏は、法曹界がこれまで行ってきた改善努力
はやっと症状面に触れただけであって、病根への抜本対応はまだ何もなされていない、と
言う。
「公判の売買、審理の緩慢さ、裁判への干渉などは、本当はわれわれの裁判と法曹システ
ムにおける病気、法治思想が制度になっていないという病気の一般的な症状でしかない。
国家指導者さえもが、制度の中に法治思想を植え付けて、法治に生命を与えようとしない。
歴代大統領の中で、法治思想に生命を与えた者はいまだにひとりもいないのだ。どうして
か?
なぜなら、本当に法治を貫いたとき、たくさんのリスクに直面しなければならなくなるか
らだ。息子が、嫁の父親が、親族が、党の要職者が、その犠牲になることをだれが望むだ
ろうか?法治を確立させ、正しい法執行が行われるようになれば、権力の輪の中にいる者
であっても法を犯せば犯罪者となる。真の法治を行えば、そういう犠牲者が出るのだ。制
度の中に法治思想が確立されていなければ、裁判や法律に権力が介入することはまだ可能
になる。」


ベニー・ハルマン国会第3委員会副議長の語るところでは、ポストレフォルマシ期に入っ
てからは、法曹システムの改善が続けられているとのこと。

外部看視者としての法曹コミッションの存在は法曹界の自律を促すものになっている。と
ころが、最高裁が判事の自主独立原則を盾にして、コミッションの姿勢に干渉する傾向が
生じている。
「最高裁が社会正義の要求に十分に対応できていないことが国会に不満をもたらしている。
そのために国会は判事法案を作成して大統領に提出したが、政府からの反応はまだ何もな
い。その法案で判事の停年をひき下ろしたのは、法曹界の世代交代を盛んにさせるのが目
的だ。」


スパルマン・マルズキ元法曹コミッション長官は、判事のクオリティ向上は法曹界改善の
ための重要なファクターだと指摘した。そのために「判事任官」「判事の昇進と転任のシ
ステム」「判事に対する指導育成」の三つの項目の抜本的改善を進めなければならない、
との弁。