「大衆運動(前)」(2017年05月15日)

ライター: コンパス紙記者、M スブハン SD
ソース: 2017年4月1日付けコンパス紙 "Gerakan Massa"

中華民国(ナショナリスト)指導者蒋介石(1887−1975)は1949年に追い出
された。それでこの将軍はナショナリスト政府を台湾で継続した。もしも蒋介石が大衆運
動、あるいは少なくとも日本の侵攻によって燃え上がった大衆のナショナリズム意識の火
を絶やさない方法を知っていたなら、かれは改革者としての名前を中国に残しただろう。
大衆運動を知らなかったことで、歴史はかれを中国大陸から追い払ってしまったのだ。

哲学者エリック・ホッファー(1898−1983)は古典作品 The True Believer 邦
訳「大衆運動」の中でそう分析した。インドネシア語訳はYayasan Obor Indonesiaから
「Gerakan Massa」のタイトルで1988年に出ている。


政治と大衆は不可分一体のものだ。政党が大衆から離れることはできない。ましてや現在
のような直接選挙時代において、大衆は政治にもっとも深く関わる部分になっている。

大衆運動の魅力の一つは個人の希望を代替するオファーであるとホッファーは言う。通常、
大衆運動は、現在の良さを闇に沈め、輝くような未来を見せて追従者を希望の催眠術にか
けると非難されている。現在に失望している者にとって、今現在は既に壊れていて、治す
のは難しいものなのである。

中国でのケースのように、大衆運動の理解に対する失敗はナショナリストグループを国民
最高指導者の地位から転落させ、中国大陸から台湾へと追い払ったのだとホッファーは指
摘する。コミュニストグループはその競争に勝って中国大陸を今日まで支配している。コ
ミュニストの中華人民共和国が中国を掌握したとき、ナショナリストの中華民国も台湾に
放り出された。


最近また大衆運動が盛んになった。路上での大衆デモが政府を圧迫する方法になっている。
現在宗教冒涜容疑で公判中のバスキ・チャハヤ・プルナマ都知事事件のために、事件の徹
底糾明を求める大衆運動の波が何度も世間を騒がせた。2016年10月14日を皮切り
にして美数コードをシンボルに使うスケジュール作りを行い、411行動(2016年1
1月4日)、212行動(2016年12月2日)、313行動(2017年3月31日)
といった形で繰り返されたのである。

インドネシアの歴史の中では、大衆は政治運動の最重要ファクターになっている。大衆運
動に関しては、タン・マラカが一番の巧者だ。1926年に逃走先のシンガポールでかれ
は、「Massa Actie」と題する書物を世に出した。「スローガンと要求を大衆が本気で叫
ぶとき、政治デモは時を追って激化する強く凄まじい波に盛り上がるため、支配階級の持
つ政治経済上の砦を崩壊させていくのである。」とタン・マラカは書いた。民族運動のリ
ーダーたちはかれの言葉に影響された。[ 続く ]