「国税のファイナンス業界への情報アクセス開始」(2017年05月24日)

タックスを目的とするファイナンス情報アクセスに関する2017年法律代用政令第1号
が2017年5月8日付けで制定され、即日施行された。これはタックスに関する自動的
情報交換(AEOI)についての国際条約にインドネシアも加わることを保証するための
法規施行であり、それによってインドネシアはAEOI参加各国との間に特定法人個人の
ファイナンス情報を自動的に交換できるようになる。


納税逃れのために国外に資産隠しを行っていた国内法人個人は、AEOI参加国からその
資産を引き上げなければ資産隠しが続けられなくなってしまうということだ。2016年
7月から実施されたタックスアムネスティはその辺りの機微を読み込んで行われたもので、
実施期間中の参加者は89万2千納税者を数えた。90万近い法人個人納税者が資産隠し
・利益過少申告をしていたということをそれは意味しているが、ところがスリ・ムリヤニ
蔵相は「2百万を下らないはずが半分にも満たない。」と残念がる発言を行った。実に、
嘘で塗り固めることが当たり前の社会がここに存在していると言えるにちがいない。

そのようなことが可能だった原因のひとつは銀行界の顧客情報守秘義務のためで、国税部
門ですら情報アクセスがほとんど不可能だったことがあげられる。情報が筒抜けになれば、
不良税務署員に何をされるかわからない、という裏事情を含めての話だから、守秘義務が
消滅すれば銀行の資金集めは難渋するという不安が銀行界にあったことも確かだろう。

今回の法律代用政令はそれを部分的に打ち砕いた。国税総局長に対して、銀行界・資本市
場・保険業界・その他金融サービス機関・その他金融機関に区分されるエンティティへの
ファイナンスデータ要求権限を与えたのである。もちろん、顧客情報守秘義務は維持され、
2017年法律代用政令第1号の規定を実施する場合のみ守秘義務が解除される。


当然ながら、その要求に応じた報告義務が上述の諸機関に発生する。
1)報告内容は自動的情報交換(AEOI)のための標準化された諸項目ならびに国税処
理業務に必要な情報をカレンダー年の一年分提出しなければならない。

2)上述の諸機関は口座オーナーのアイデンティティに関して、次のことを検証しなけれ
ばならない。
居住国・報告対象口座であること・報告対象人物であること・法人口座の場合の実質的支
配者であること・また、検証プロセスにおける書類の保存義務

3)口座オーナーが諸機関の国税部門への報告を拒否した場合、新規口座開設禁止および
当該口座での取引禁止

4)上述諸機関が2017年法律代用政令第1号の規定を遂行しない(報告を期限までに
提出しない・報告内容が虚偽である・検証を怠る)場合は、最長一年の拘留刑あるいは最
大10億ルピアの罰金刑

スリ・ムリヤニ蔵相はこの2017年法律代用政令第1号の施行について、国民納税者は
国税部門が自分のファイナンスデータを悪用して金を搾り取りに来ることを心配しなくと
もよい、と表明した。「情報とデータは慎重に取り扱われ、これから作られる代用政令実
施細則としての大臣規則で国税総局内の管理システムが厳格に定められる。また実際に悪
用が起こった場合に備えてウィッスルブローイングシステムも完備されるので、納税者は
不良税務署員をそのシステムに訴えることができる。」との蔵相談。