「スンバ島でバッタが大量発生」(2017年06月23日)

東ヌサトゥンガラ州東スンバ県で大量発生したバッタがワインガプ(Waingapu)の町を包囲
している。東ヌサトゥンガラ州地方災害対策庁長官によれば、大量のバッタによる襲撃は
2週間前から始まったとのこと。ただしまだ原野にいて、人間の生活に被害をもたらす段
階には至っていない由。

住民はバッタの群れに対して伝統的対策である煙でいぶしたり、バッタのハビタットと思
われるエリアを燃やしたりして、対策を講じている。地元政府が殺虫剤散布をまだ行わな
いのは、それを行うとかえってバッタの襲来地域が増えるという過去の経験に照らし合わ
せてのことであるそうだ。


6月10日には、数千匹のバッタがウンブメハンクンダ空港を襲った。空港滑走路一帯が
バッタで覆われ、空中に黒褐色の幕がかかっているとき、クパンからナムエアーの航空機
が飛んできたが、着陸することができずに上空を旋回した。折しも、北から南に向かって
強い風が吹いていたため、バッタはその風に乗って徐々に南へ移動して行った。着陸予定
時間の12時は、結局13時になってしまった。操縦士はバッタがエンジンを止めないか
と気が気でなかったそうだ。

空港周辺にいたバッタはそのようにして、ワインガプの町に向かって飛んで行ったとのこ
と。バッタの大量発生は空気が湿っているときに起る。雨と暑熱が交代で地上を襲うと、
バッタが大量発生する可能性が高まる。藪影に生みつけられていた卵が同時に一斉に孵化
するのだと東スンバ県農業農園局職員は説明している。2016年のこの時期にもバッタ
の大量発生が東スンバ県で起こり、対策を誤ったことからバッタは南西スンバ・中部スン
バ・西スンバの各県へ拡大して行った由。


クパンのヌサチュンダナ大学農学部長は、農民の化学肥料過剰使用がその結果を招いてい
る、と語る。「東スンバの水田はもう何十年も地味の再活性化を行っていない。農民は同
じ土地に化学肥料だけを頼りにして栽培を続けて来た。土地がやせて行けば行くほど、そ
れを補うために化学肥料の量を増やすのは大いに起こりうることだ。異常な量の化学肥料
が使われて、バッタの天敵が滅びて行った。ほとんどすべての化学肥料は特定の生き物を
滅ぼす副作用を持っている。アリ・ミミズ・地虫・ムカデ・ネズミなどの天敵が減ってし
まえば、バッタは一大?栄に向かうことになる。その証拠に、バッタが大量発生した藪の
ある土地は、使われなくなった農地であることが明らかになっている。州政府は早急に農
民の化学肥料使用をやめさせて有機肥料の使用に転換させなければならない。狂ってしま
ったエコシステムを回復させるとともに、人体により健康な食材を栽培するよう、政策を
改めなければならない。」

その意見に従って、東スンバ県庁は農民に対し、2〜3年間連続して有機肥料だけを使用
するよう勧告した。まずバッタの大量発生がその後も続くかどうかを見ようというわけだ。

だが地元農業界リーダーたちは、農民に対して化学肥料のリスクを明確に理解させること
がもっとも重要だと説く。「ワインガプの町では、化学肥料が簡単に手に入る。特に園芸
作物を太らせるための肥料をみんな使っている。それを有機肥料に取り替える意志を農民
に持たせなければならない。エコシステムを回復させることの重要性を農民に覚らせなけ
ればならない。」

東スンバ副県令はバッタへの殺虫剤散布を手控えていると語る。「殺虫剤を撒くとバッタ
は四方八方に散って行き、バッタの襲来地域を増やすことになってしまう。だから夜にバ
ッタが降りているとき、そのエリアに火の包囲路を作って火をかけている。」と現在行わ
れている対策を説明している。