「危険と隣り合わせの火山観光(後)」(2017年07月17日)

それぞれの火山は独自のキャラクターを持ち、危険性についても独自の特徴を持っている。
たとえばディエン高原のティンバン火口(Kawah Timbang)の場合、有毒ガスの噴出が特徴
であり、同じことは東ジャワ州イジェン火山(Gunung Ijen)にも当てはまる。おまけにイ
ジェン火口湖の水は塩酸酸性がきわめて強い。

クルッ火山(Gunung Kelud)の場合は火山泥流と火口湖水の噴出、ブロモ火山(Gunung Bro-
mo)とスメル火山(Gunung Semeru)は有毒ガスと火山弾、シナブン火山(Gunung Sinabung)
とムラピ火山(Gunung Merapi)は熱雲とラハール洪水などというように特徴が異なってい
る。それら火山ごとの危険の特徴とポテンシャリティはマッピングがなされて火山地質災
害対策センターのホームページで確認することができる。同じデータは地方自治体や地方
災害対策庁も持っている。

火山地質災害対策センターは、センターが出す警告が地元自治体や観光管理当局にあまり
尊重されていない不満を述べている。しかしながら国民自身が警告表示に従おうとせず、
危険の高い場所のすぐそばまで接近したがることも、危険回避警告が世の中にあまり実効
性を持てない状況の下支えをしていることをセンター自身も理解している。今この瞬間に
災害が発生しておらず、大勢の人間が危険な場所のすぐそばまで接近していれば、自分の
好奇心を抑えられないのがインドネシア人なのである。


ジャワ島で火山観光のトップクラスに位置付けられている山々は、西ジャワ州のタンクバ
ンプラフ火山(Gunung Tangkuban Perahu)、中部ジャワ州のディエン高原にあるたくさん
の火口、東ジャワ州のブロモ火山とイジェン火口湖だろう。それぞれの概説は次の通り。

[タンクバンプラフ]
西ジャワ州西バンドン県に所在し、森林に囲まれた活火山。休日の訪問者は一日1〜1.
5千人。kawah ratu, kawah upas, kawah domas, kawah jurig, kawah siluman, kawah 
ecoma, kawah baru, kawah lanang, kawah jarian の9ヵ所の火口がある。

[ディエン]
中部ジャワ州ウォノソボ県とバンジャルヌガラ県にまたがる。いくつかの火山峰と火口を
持つ総面積5万5千Haの高原。2015年の観光客総数350,830人。Bukit Siku-
nir, Telaga Warna, Telaga Pengilon, Telaga Merdada, Kawah Sikidang, Gunung Prau, 
Candi Arjuna, Dieng Plateau Theater, Gardu Pandang Dieng, Batu Ratapan Angin, Te-
laga Cebong Dieng, Sumur Jalatundaなど豊富な観光スポットを有する。

[ブロモ]
東ジャワ州プロボリンゴ県に所在。広い砂の海に囲まれた活火山で、サンライズのパノラ
マが美しい。2014年の観光客総数55万人。Gunung Semeru, Pane, Ranu Kumbolo, 
Ranu Regulo, Ranu Drungan, Gunung Bromo, Savanna Teletubbies, Pasir Berbisik & 
Lautan Pasir, Penanjakan 1, Penanjakan 2, Puncak Mentingen, Air Terjun Madakari-
pura など豊富な観光スポットに恵まれている。(Ranuとは湖のこと)

[イジェン]
東ジャワ州バニュワギ県とボンドウォソ県にまたがる山地。ジャワ島西端にあるムラピ火
山(Gunung Merapi ヨグヤカルタ北のムラピ山とはまた別)の西側山稜に位置し、ずっと
西側に離れたラウン火山(Gunung Raung)まで広がる山地の中にある。2016年にユネス
コエコパークに指定された。2015年観光客総数15万人。周辺地区まで含めてKawah 
Ijen, Kawah Bulan Sabit, Pemandian Air Panas, Air Terjun Blawan, Air Terjun Kali 
Pait, Air Terjun Kampung Anyar, Air Terjun Kalibendo などの観光スポットがある。
[ 完 ]