「ATM?それともAPM?」(2017年07月21日)

パスポートを作るために朝暗いうちからイミグレーション事務所を訪れて整理番号をもら
わなければならないという方式を改善しようと、法務人権省イミグレーション総局は、パ
スポート申請プロセスの半自動化トライアルを開始した。昔からあった全マニュアル式か
ら一足飛びにオンライン申請を開始したものの、一般国民にはオンライン方式の信頼性や
実プロセス内におけるオペレーションの融通性などに抵抗があって、なかなかうまく進展
しないでいる。

そのため総局はその中間レベルのものを考案して、その適用を拡張する方針を出してきた。
ATMのような機器をイミグレーション事務所内に置いて、その機器を使って申請させよ
うというものだ。ちなみに現金出納マシーンであるATMをインドネシア語ではAnjungan 
Tunai Mandiriと称しており、このパスポート申請用機器はAnjungan Paspor Mandiri略し
てAPMと名付けられた。


インドネシアのパスポート申請プロセスは、まずパスポート申請者のデータ確認段階があ
り、そのためにいくつかのバックアップ書類が必要とされる。必要な条件をすべて満たし
ている者だけが申請を受け付けてもらえるわけで、この段階でふるい分けが行われる。

当然ながら政府の側も課してある条件の真偽チェックや、その者のパスポート取得履歴お
よび問題を起こしたことがあるかどうかという経歴チェックを行う。

そして申請者に対するインタビュー、指紋採取、パスポート写真撮影という一連の本人デ
ータ採取と人物鑑定のプロセスが踏まれ、やっとパスポートが作成されて、完成品を受け
取りに再訪するという、実に長いステップを通過しなければならない。


自動化が可能なのはデータ確認段階だけであり、おまけにバックアップ書類の確認は人間
が行うしかないため、データ入力とその処理というもっと狭い部分へと限定されていく。

インタビュー・指紋・写真のプロセスは面会日時が予約されなければならず、もしもその
予約が流れたなら、再び予約の取り直しとなり、言ってみれば列の最後尾に着きなおすと
いうことが行われる。そういったさまざまな障害を乗り越えて、インドネシア人はやっと
パスポートを手に入れているということだ。


さてそのAPMがリアウ島嶼州タンジュンバライカリムンのイミグレーション事務所に1
7年7月11日に設置された。このAPM方式では、パスポート申請者が24時間いつで
もデータ入力を行うことができ、また面会予定日時のアレンジもやりやすく、おまけにチ
ャロによる不正行為もミニマイズできるといったメリットをイミグレーション側は強調し
ている。

更には、請求費用総額がSMSで申請者に伝えられ、またパスポート作成プロセスの進度
もSMSで申請者に報告される。加えて居住地が遠隔地の申請者はインタビュー・指紋・
写真のプロセスを行うために一回だけイミグレーション事務所を訪れればよくなり、出来
上がったパスポートは郵便を使って自宅まで配送されるサービスを使うことも可能になっ
た。

現段階でAPMは6基が使用されており、4基がタンジュンバライカリムンに、そしてモ
ロ島とタンジュンバトゥのイミグレーション事務所に各1基が置かれて、トライアルが進
められている。

APMが置かれる前、タンジュンバライカリムンのイミグレーション事務所は一日の処理
件数が60〜70程度だったが、この新システムトライアルが開始されてからは一日の処
理件数が120まで増加している。