「姿を消しはじめたプレミウムガソリン」(2017年09月06日)

政府の補助金が付けられた低価格ガソリンであるプレミウムを販売するガソリンスタンド
が都市部で減少している。バリ島南部地区でも、4〜5カ所のガソリンスタンドを回って
やっと一軒見つかるという具合であり、しかもそのスタンドにある十数本の給油ノズルの
ひとつだけがプレミウムに割り当てられていた。プレミウムの油種がスタンド内の掲示か
ら完全に消え去っているところもあれば、「PREMIUM HABIS」の手書き表示看板が立てら
れているところもあった。

政府の石油燃料補助金撤廃方針を受けて国有企業プルタミナが進めている営業方針である
ことは言を俟たないにちがいない。石油天然ガス下流事業活動統制庁によれば、全国のプ
ルタミナ所有ガソリンスタンド5,480軒のうち1,094軒がプレミウムガソリンの
販売をやめているとのことだ。

言うまでもなく、その方針実施によって、プルタミナと政府にとってはたいへん大きい成
果が上がっている。2017年上半期のプレミウムガソリン販売状況は、前年同期の市場
販売シェアだった81.1%から42.2%に激減し、プレミウムに代替させるべく20
15年中盤に発売された補助金なしのプルタライトガソリンが7.7%から39.9%に
激増して首位の座をうかがう状況になっている。

プレミウムガソリンは低オクタン価のRON88であり、今や世界的な傾向としてオクタ
ン価のより高い石油燃料を使うことが環境汚染対策となっていることから、RON90の
プルタライトを使用する方向に政府は国民を誘導している。自動車製造業界もプレミウム
ガソリンの使用を消費者に勧める者はおらず、政府と生産者そして消費者が一体となって
プレミウムからプルタライトへの移行が推進されているというのが政府の現状に関する認
識になっている。


ところがそれに対して国会第7委員会がクレームをつけた。元々は政府の石油燃料補助金
撤廃を声高に叫んでいた国会だったが、方針実行プログラムの内容がいつの間にか国会を
置き去りにして着手されていたということが問題にされたようだ。第7委員会副議長は政
府とプルタミナが行っているプログラムに関して、政府が国民に対して市場価格を決めて
いるプレミウムガソリンの市場供給を市場メカニズムにゆだねることは認められない、と
の声明を出した。「プレミウムは国民に供給されなければならない義務がある。プレミウ
ムガソリンとソラル軽油は政府が定期的に価格を定め、その流通を監視している物品であ
る。消費者価格の確定と市場メカニズムにすべてをゆだねないという面における、憲法に
則した政府の責任がその点にあるのだ。」

それに対してプルタミナ市場担当取締役は、「市場におけるプレミウムガソリンの需給状
況は密接な監視が行われており、全国のガソリンスタンドにおける販売状況は十分に把握
されている。たとえ将来にプレミウムガソリンへの補助金が廃止されても、この油種の存
続に関しては大統領決定によって定められなければならないものになっている。」と反論
している。