「社会福祉障害者(前)」(2017年10月12日)

インドネシアには社会福祉障害者(penyandang masalah kesejahteraan sosial = PMKS)
という概念があって、次のようなひとびとがこのカテゴリーに区分されている。それを見
れば、きっとこの概念がよく分かるにちがいない。

大人が妥当な世話をしていない放置幼児
大人が妥当な保護を与えていない放置児童
ストリートチルドレン
秩序に従わない不服従児童
身体障碍児童
麻薬違法薬物中毒者
受刑履歴を持つ前科者
浮浪者
乞食
売春婦
世話をされていない放置老齢者
身体障碍者
男の性同一性障害者(MtF)

インドネシアで売春が犯罪でないのは、
「インドネシアの売春」< http://indojoho.ciao.jp/koreg/klacu.html > 
に説明されている通りだ。だから売春婦は犯罪者とされず、このPMKSに区分されてい
る。

また、かつてジャカルタで交通渋滞緩和のためのスリーインワン制度が実施されていた時
代、スリーインワンジョッキーと呼ばれるひとびともこのPMKSに区分されて取締りの
対象になっていた。

ジョッキー行為を犯罪と理解した外国人が少なくなかったが、他人の車に乗って金をもら
うのを犯罪と定義付けることは法的に困難があるように思われるし、現実にインドネシア
でもそのような法律対応はなされていない。

都庁社会局が頻繁に行っているPMKS取締りで補導されると、区分別に更生プログラム
を受けさせられる。子供の場合は少年院、売春婦や乞食・浮浪者は更生院に強制的に収容
されて職業訓練が施される。他州から来た乞食・浮浪者は故郷に送還されることも行われ
ている。

もちろん家族に見捨てられた幼児・児童・老齢者の扱いはまた異なり、かれらに更生プロ
グラムなどないのは当たり前で、かれらは行政からの保護が与えられている。[ 続く ]