「沈滞ムードの続く小売り産業」(2017年10月20日) ショッピングセンターの賃貸床面積が減少傾向にある。つまりテナントの入居が減ってい るということだ。それはショッピングセンターを訪れる客数の低下と表裏の関係にあると いうことだろう。しかしショッピングセンター運営が消費者の好みを的確につかんでそれ に適合させた方針を立てて行くかぎり、集客力は維持されるだろう、と不動産アドバイザ ーは見ている。ショッピングセンターテナントのメインセクターは従来通り飲食品販売と ファッション関連商品販売で、変化は見られない。 「ショッピングセンターのスペース賃貸は変革を続けている。今やショッピングセンター は消費者に、出会いの場所やライフスタイルといった体験をオファーするようになった。 一方で来店客はデジタルに明るい階層がマジョリティだ。成功するショッピング場所は変 革意欲を持つ者だけになる。持たない者は消費者に見捨てられる。」コリエールズインタ ーナショナルインドネシアの小売サービスシニア主幹はそう述べている。 コリエールズのデータによれば、ジャカルタの2017年Q3ショッピングセンターテナ ント入居率は前四半期の86.1%から83.8%に低下した。この数字は2000年ご ろ以来の最低記録になる。 グローバル小売伸長インデックス最新版でも、インドネシアは3ランク下がって8位とな った。業績は対前年比で8.02%増加しているにもかかわらず、である。 「最近ショッピングセンター2カ所がクローズしたことは、訪問客数が減少していること を示す証明だ。依然として集客に強いモールですら、売上はそれほど増えていない。明確 な営業コンセプトを持たないところは客足が落ちるだろうし、その結果テナントもそこか ら去って行くことになる。」そう小売サービスシニア主幹は語っている。 消費者はアッパーミドル層とロワーミドル層の分化が顕著になっている、とコリエールズ は見ている。売上高の低下はロワーミドル層消費者が支出を減らしている結果だ。インタ ーネットショップ産業がショッピングセンターセクターにもたらしている影響は、ニール センのリサーチによれば、たいした強さではないそうだ。これまでジャカルタのショッピ ングセンターやモールが持っていた、家族連れで慰安を求めて訪れる場所というファクタ ーに代替できる力はインターネットショップ産業にないし、他の産業セクターにとっても その条件は似たようなものだ。 ショッピングセンターはテナントに去られないことをテナント対策のトップに据えている。 そのためテナント料の値上げをしておらず、更には前からのテナントに対して新テナント 誘致料金に合わせたショッピングセンターも出現している。 テナント入居率は2017年初以来、ほとんど低下していないとのこと。