「ジャカルタ〜バンドン高速鉄道はシルクロードの一部(2)」(2017年11月15日)

高速鉄道外交を用いる中国の意図がシルクロードのルートに位置する65カ国との交流を
打ち建てることを目指しているのは明白だ。最初はアフリカ・米国・ラテンアメリカに高
速鉄道網の建設が計画された。アメリカファースト政策を標ぼうしてトランスパシフィッ
クパートナーシップやパリ協定から脱退し、世界のリーダーとしての姿をときどき掻き消
してしまうドナルド・トランプ米国大統領が示すように、米国のグローバルリーダーシッ
プの意欲低下をチャンスとして今こそ世界のリーダーになろうとする中国の大望をこのプ
ログラムは支えるものなのである。

< コンセプトと実践の落差 >
メディア報道からわれわれが知るジャカルタ〜バンドン高速鉄道建設プロジェクトの進展
状況は、最初言われたようなスムースなものでなくなっている。着工以来あまたの障害に
直面して、プロジェクト進行が計画通りにできなくなっているのだ。しかしどうやら、ジ
ャカルタ〜バンドン高速鉄道プロジェクトで起こっている計画との落差は、この中国の壮
大なプログラム全体の中の例外事案ではないようだ。

ワシントンDCのCSISやファイナンシャルタイムズの調査によれば、BRIプログラ
ムにおける高速鉄道建設の推進は順調に進んでいるものよりも問題に直面しているものの
ほうが多いそうだ。その調査報告の中に、最初OBOR計画での高速鉄道プロジェクトは
18件、投資や工費負担として総費用1,430億米ドルとなっていたが、そのすべてが
順調に進展しているわけではなく、キャンセルや休止状態になっているものも少なくない
と述べられている。(ファイナンシャルタイムズ2017年7月17日号)

その詳細は次のようなものだ。いま現在進められているプロジェクトは5つある。まだ初
期段階にあるロシアのモスクワ〜カザン770キロ予算214億米ドル。EU内部の規定
に違反している可能性があるという問題に直面しているハンガリーとセルビア間のブダペ
スト〜ベオグラード350キロは予算28.9億米ドル。

サウジアラビアのメッカ〜マディナ間453キロは予算123億米ドル。雲南省昆明から
ラオスのビエンチャンまで417キロはトンネル75カ所、橋167カ所を含んでおり、
予算58億米ドルで2016年に着工された。ジャカルタ〜バンドン142キロは予算5
5億米ドルで、中国開発銀行からの借入が45億米ドルとなっている。

次に、計画段階のものが12プロジェクトあり、総費用は1,141億米ドルだ。

三番目は取り消されたものが5件あって、予算総額は475億米ドルだった。ミャンマー
のヤンゴン〜マンダレー、リビアのトリポリ〜シルテ、米国のロサンジェルス〜ラスベガ
ス、メキシコのメキシコシティ〜クエレタロ、ベネズエラのティナコ〜アナコ。

四番目は完成したもので、一件だけある。トルコのアンカラ〜イスタンブールだ。
[ 続く ]