「インドネシアの治安は良いか?」(2017年12月18日)

いつの時代でも、「昔より今の方が犯罪は激しくなり凶悪化している。」とたいていのイ
ンドネシア人は言う。これは年寄りが「今どきの若いモンは・・・」と語るあのユニバー
サルな心理に通じるものだろうと思われるが、犯罪がそういうユニバーサルな性質を持っ
ているのかどうか、わたしは知らない。

コンパス紙が2017年4月26〜28日に国内14都市で17歳以上の住民595人に
行った調査結果は、5年前より一層ひどくなっている、と答えた回答者が72%いたこと
を示している。

ただ、かれらが被害者になったからそう言っているというわけでは決してない。マスメデ
ィア報道が深層意識に基礎色調を塗りこめ、その上に自分の生活環境内で隣人知人が語っ
た被害話を耳にすることで、ひとびとは犯罪がぐいぐいとわが身に近寄ってきていると感
じるのだろう。隣人知人が語る犯罪話を聞いたことがあるひとは回答者の中で62%を占
めた

中央統計庁の公表した2015年の犯罪統計では、他人の所有権を侵す犯罪件数が114,
013件でトップに置かれている。同じく他人の所有権を力ずくで侵す犯罪は11,85
6件で、十分の一しかない。第二位は他人の身体に危害を加える暴力や虐待が47,12
8件。その中に家庭内暴力も含まれている。ところが殺人事件はわずか1,491件だ。

州警察別の犯罪届出件数番付を見ると、トップは言うまでもなく首都警察、二位以下は東
ジャワ、北スマトラ、西ジャワ、南スマトラという順位であり、それらの州にある都市が
犯罪多発であると見なすことができよう。
2015年の全国犯罪総件数は352,936件で、1分29秒に一件のスピードで犯罪
が発生している。また住民10万人当たり140人が犯罪の被害を蒙っている。

質問1)最近の犯罪は5年前と比べて一層激しくなっていると思いますか?
回答1)ますます激しい71.9%、沈静化している24.7%、変わらない13.8%

質問2)5年前と比べてあなたの生活環境は一層安全になっていると思いますか?
回答2)ますます安全47.4%、ますます不安全27.4%、変わらない24.7%

質問3)今住んでいる場所の安全度はどうですか?
回答3)安全84.9%、普通9.1%、不安全6.0%

質問4)国内のどこへ行こうが、安全であると感じますか?
回答4)安全59.2%、不安全21.5%、普通18.3%

質問5)あなたの生活環境で犯罪が発生したことがありますか?
回答5)ある61.7%、ない37.8%

質問6)犯罪が起こったら、あなたは何をしますか?
回答6)関係当局に通報する46.4%、何もしない25.9%、地域管理役員(隣組長、
字長)に届ける23.5%

質問7)助けが必要になったとき、いつでも警察に連絡できますか?
回答7)
できる。最寄りの警官詰所の場所を知っている 59.2%
できる。警察の緊急電話番号がメモリーされている 16.8%
できる。詰所を知っており、電話番号もメモっている 17.8%
できない。警察への連絡方法を知らない 4.4%

質問8)今あなたが最も心配している犯罪は何ですか?
所有権侵害36.0%、生命を奪う犯罪21.7%、ナルコバ犯罪21.7%、性犯罪8.
7%