「犯罪理解の十方法(前)」(2017年12月21日)

ライター: インドネシア大学社会学政治学部犯罪学者、アドリアヌス・メリアラ
ソース: 2011年10月31日付けコンパス紙 "10 Cara Memahami Kejahatan"

部落間や学校間タウラン(集団喧嘩)問題がまだ片付かないというのに、乗合バス内での
レイプ事件がジャカルタを沸騰させた。その記憶がまだ色褪せないうちに、今度はさまざ
まな殺人事件がジャカルタで起こった。

その一方で、喧嘩から暴行までの多少とも過激と呼べる暴力犯罪は果てしなく発生してい
る。


わたしはここで、特にジャカルタなどの大都市で起こっている暴力犯罪の増加を理解し分
析する十方法を簡単に紹介したい。

1.マスメディアの傾向とは異なり、われわれは時間の枠を単に一日二日といったレンジ
でなく、例えば年とか月の単位で見る必要がある。そうすることで、より完全なプロフィ
ールが浮き上がってくるのである。あちこちで起こっている暴力犯罪が不変的性質を持っ
ている(容易に増えたり減ったりしない)という理論をそれが裏付けるかもしれない。

2.犯罪統計を精査すること。警察が公表しているインドネシアの犯罪統計は、概して有
効性の低いものだ。偏りが大きい。その編者から犯罪プロフィール作成に至るまで真剣に
取組まれていないのだから、いたしかたない。しかしその統計から少なくとも、ある地域
における暴力犯罪の様相を知ることはできる。保証してもよい。もう一度言うが、そこに
統計数値の極端な変動(増加にしろ減少にしろ)を見出すことはない。

3.エコロジー要因を加えること。犯罪学においてエコロジー要因は、外部影響素として
容易に理解される。たとえば、都市の特定地区における失業率の高低、アーバナイゼーシ
ョン、経済成長率、人口密度などだ。それに関連して、ルバランホリデー後しばらくの間、
ノーマルでない状態に陥ることは容易に想像できるにちがいない。たとえば、新参者が起
こすアーバナイゼーションだ。人口稠密な地区がますます密度を高める。ルバラン後、た
いていのひとは金を使い果たしている。要するに、それらのエコロジー要因が前件ファク
ターとなり、ひとびとが一層怒りやすくなったり、ものごとを曲解しやすくさせたりする
心理状態に向かわせる誘因となるのである。

4.犯罪対決者、つまり警察、の役割を忘れてはならない。暴力犯罪というコンテキスト
において、広まりや発生頻度はその対決者自身のアクティビティの影響を受ける。対決者
が別のことがら、たとえば最近ジャカルタでほとんど毎日行われているデモ治安対応、に
焦点を向けている場合、持続的にケアされるべき公共スペースの治安に手が届かなくなる。
5.最近起こっている暴力犯罪の実行者がどういうデモグラフィプロフィールを持ってい
るのかに注目すること。犯行者が若い男で、低学歴、完全もしくは半失業者、低社会経済
階層出身者というプロフィールなら、百年一日のごとしだろう?同様に被害者が子供や低
学歴女性で無職であるなら、犯行者と被害者は従来からの典型的なパターンに属し、犯行
状況さえもが語りつくされたものだろうことが推測できる。犯行者が怒り、無力の被害者
に暴力を振るうのである。[ 続く ]