「没文化人と悲劇の彫像(2)」(2017年12月21日)

< 他の町でも >
その蛮行は西ジャワ州で何度も繰り返されたもののひとつだ。2016年2月、プルワカ
ルタ県ワナヤサ郡ワナヤサ池に設置されていたアルジュナ像が、住民代表ですらない一群
の者たちによって焼かれた。高さ7メートルのその像はデディ・ムリヤディ県令が建てた
ものだ。皮肉にもその像は、2011年9月中旬に焼かれたワヤン登場人物像の後継とし
て設けられたものだった。

パガンダランやプルワカルタだけではない!2010年6月なかばには、ブカシで三人娘
の像が破壊された。ある住宅地区のメインゲートに建てられた芸術的な像はプリアガン
(Priangan)の三人娘物語にちなんだもので、身にまとったカインが風に翻る様を描く優れ
た作品だった。

いったい誰が言い出したのか、それはヒンドゥ教の三大神であるブラフマ・ヴィシュヌ・
シヴァのメタファーであるという解釈が広まった。住民の中に、その像はバリなら良いが、
ブカシにはふさわしくないものだ、と考えるグループが出現した。情けないことに、ブカ
シ市長モッタル・モハマッ氏がその正しくない解釈を支持した。ほんの一部住民の考えた
歪んだ解釈を背負ったグループが行うヴァンダリズムをかれは禁止しなかった。

彫像を破壊しまくるその癖はブカシの一部住民が代々伝えてきたものだったのである。2
002年4月に一部住民がその口火を切っている。かれらは二匹のナマズの彫像を大勢が
取り囲んで焼いた。その写実的な像はグラスファイバーで作られていたから、半時間後に
は焼きナマズができあがった。

焼きナマズ事件はプライド問題が底流をなしていた。破壊者たちはナマズを浪費と強欲の
シンボルと考えた。それは彫像制作者の考えとまったく正反対なものだ。制作者はブカシ
が全国ナンバーワンのナマズ生産地であるという事実に焦点を当てていたのである。

記念碑像の破壊が、全力を傾けて整備しようと努めている都市環境を汚すものであるのは
明白だ。往々にしてその育成に手間暇のかかる住民の安寧が損なわれるのである。計算づ
くでデザインされた都市の美観に泥を塗っているのだ。

それにも増して、彫像に対するヴァンダリズムの姿勢はアーティストという職業に対する
侮蔑なのである。アーティストは精魂込めてそれらの像を制作しているのだから。

アーティストも世の中の尊敬を受ける権利を持っている社会の一員であるということを一
部の人はすぐに忘れてしまう。アーティストも教員・エンジニア・経済専門家・化学専門
家などと同じポジションにあるのだ。中国ではその長い歴史の中でアーティストが、皇帝
のアドバイザーとして宗教師と同じ地位に置かれたこともある。ルネッサンス期のヨーロ
ッパでは、彫像家は社会から尊敬されて種々の恩典を与えられた。政庁・行政機関・エリ
ート市民たちが彫像家のメセナとして振る舞った。[ 続く ]