「米ドルは使わないように」(2017年12月26日) インドネシア銀行が実業界と銀行界に対し、タイとマレーシアとインドネシアの三国の間 では、二国間の貿易や投資にできるだけタイバーツ・マレーシアリンギット・インドネシ アルピアのローカルカレンシーを使い、米ドルなどのハードカレンシーの使用は減らすよ うに要請した。 これは2016年末にその三国の中央銀行が合意した二国間貿易と直接投資にローカルカ レンシーの使用を推進することに関連するフォローアップで、その三国同士はもとより、 東南アジア域内あるいはそれ以外の国との貿易や投資においても上記三通貨の使用の機会 を見出して行こうとする姿勢を持つものだ。 インドネシア銀行総裁によれば、インドネシアからの輸出決済は94%、輸入決済は78 %が米ドルで占められているとのこと。外国との決済通貨が米ドルに偏っていることから、 政府は昔から通貨の多様化に努めてきた。折に触れてユーロ・日本円・中国元・オースト ラリアドルなどのポーションを増やすべく指導してきたが、その結果は総裁が述べた通り で、成功した様子は見られない。 米ドルには世界中のさまざまな要因がからんで突発的な変動が起こるため、それを安定さ せようとして通貨管理当局が振り回されるのが通例であり、中央銀行としてできるだけそ の影響を小さくさせて自国通貨の安定を図りたいと望むのは当然の話だ。 インドネシア銀行はこの方針の展開に際して、三国のローカル通貨による決済をサポート する銀行として、マンディリ・BNI・BCA・CIMBニアガ・インドネシアメイバン クの5行を既に指定している。 タイ中央銀行総裁はこの方針に関連して、実業界が効率向上を享受できるのは間違いがな く、そこで入手できた効率はぜひ貿易量の増加に振り向けていただきたい、とコメントし た。