「ジャカルタの若者に自殺願望」(2018年01月16日)

「ジャカルタの若者に自殺願望」(2018年1月16日)
2015年にジャカルタで行われた学校ベースのグローバル保健サーベイで、南ジャカル
タ市の学校に在学している13〜18歳の生徒941人から集めた統計結果によれば、自
殺を考えたことのある者は18.6%だった。全国平均は男子4.3%女子5.9%であ
り、ジャカルタはきわめて高い結果になっている。

インドネシア精神医学専門医師会ジャカルタ支部長はそのサーベイについて、実際の回答
集計は南ジャカルタ市の学校だけで行われたが、生徒の居住地は都内各所に分散している
ために地理的偏差はないものと見られるので、それは首都ジャカルタ全体を反映するもの
と考え得る、と説明した。

全体では18.6%だが、情緒面で障害を持っている生徒だけを集めた場合そのパーセン
テージは35%に上昇し、残るノーマルな生徒たちだけは14%に低下した。だがそれで
すら、全国平均よりはるかに高い。ジャカルタの生徒たちは、躁鬱質や抑うつなどの情緒
障害とは無縁のノーマルな子供たちですら自殺志向を持っているとジャカルタ支部長は強
調している。「交通渋滞から暴力に至るストレス因子に満ちている都市生活が、その統計
結果を招いていると思われる。」


2017年1月〜9月のジャカルタ住民自殺者数は11人だ。2013年基礎保健データ
リサーチによれば、15歳以上の都民で情緒障害罹患者は5.7%であり、つまり人数で
は57万人いるということになる。重度精神障碍者は百万人中の1.1であり、全国平均
をわずかに下回っている。人数では1.1万人になる。

都民の精神保健の実情がそのようなものであるため、自殺防止対策は急務と見られている。
学校をベースにした青少年対応の推進と、都民一般を対象にするホットライン設置がまず
着手されるべきステップだろう。

世界の諸都市では24時間サービスのホットラインが住民の自殺防止の最前線に就いてい
るのが普通なのに、ジャカルタではそれが徹底されていない。2010年から2013年
まで、電話番号500454のホットラインが稼働していた。保健省の予算で都内グロゴ
ルのスハルトヘールジャン精神病院がそれを担当していたのだが、予算不足を理由に資金
が付かなくなったため、維持できなくなってしまった。

スハルトヘールジャン精神病院で行われていたその活動の管理者は、電話してくる人は年
々増加し、最後の年には年間で1千人近くになった、と語る。「自殺したい」という相談
は、毎年件数別で常にトップ10に入っていたそうだ。

スハルトヘールジャン精神病院医療コミティ委員長は、都民の精神保健に関わる要因はた
くさんある、と語る。

「遺伝的要素、ライフスタイル、都市の歴史自体までさまざまだ。しかしそれらの根源を
なしているのは、不適切な住民と都市の管理行政にある。それが社会文化システムを混乱
させ、社会の寛容性や他者への気遣いを弱め、確定性を喪失させ、暴力を発生させる。そ
の抗議として個々の都市住民は違法薬物・若者の不良行為・犯罪・自殺願望などの形を実
行するようになる。そのクライマックスが個々人の重度精神障害だ。

都市住民の精神保健問題は、個人や共同体がさまざまに異なる他の文化と溶け合う長いプ
ロセスの中に出現するものだ。明確な政策の欠如は、大都市の文化融合プロセスが圧迫と
強制に導かれたものになり、暮らしの中の価値観を混乱させるリスクを生む。だから都市
の精神保健問題は上流部分から見て行かなければならない。アーバナイゼーションや住民
管理に関する法規や政策の分析から手を着けなければならないということだ。」

委員長は問題のポイントをそう指摘している。