「デンポ山の旅(前)」(2018年02月01日) 北西から南東に向かって長く伸びたスマトラ島の中央から西寄りを脊梁山脈が走っている。 ブキッバリサン(Bukit Barisan)と呼ばれるその脊梁山脈には、多数の活火山が連なって いる。そのうちの最高峰がクリンチ(Kerinci)山で海抜3,805m、第二の高峰がレウ セル(Leuser)山で3,404m、第三位がデンポ(Dempo)山の3,159mだ。 デンポ山は2017年11月に何の前触れもなく噴火したが、長続きしなかった。デンポ 山の東に位置するパガララム(Pagar Alam)の町とデンポ山の間には一面の茶畑が広がって いて、高原の茶畑と雄大な山景、そして潤沢に残されている緑の大自然が美しい風景で目 と心を慰めてくれるから、そこが多くのひとびとを招き寄せる行楽目的地になっているの も、当然の成り行きだ。 2017年12月15日にコンパス紙記者がデンポ山を訪れた。その旅行記を読むことに しよう。 ちょうど正午にトゥグリマウ(Tugu Rimau)に到着した。標高1,820mのトゥグリマウ は気温が21℃前後で、いたって涼しい。トゥグリマウはデンポ山登山者にとっての登山 口だ。登山しない者も、ここから眼下に広がるデンポ山麓を覆いつくすような1万9千H aの茶畑を眺めることができる。 トゥグリマウへは、摘まれた茶葉を運ぶトラックが上り下りする中を、曲がりくねったき つい斜面の狭い道路を歩かなければならない。茶葉はあまり遠くない国有第七農園会社に 運ばれて加工されるのだ。 パレンバンからここまで来るのに、乗り合いバスを使えばひとり7万5千ルピア。レンタ カーを借りれば、一日35〜40万ルピア。ツアーに参加して行儀よく振舞うなら、ひと り70〜80万ルピア。 この日、ラハッ(Lahat)から軽トラックでやってきた一家が、青天井の下で家から持参し たさまざまな料理を地面に広げたシートに並べて、みんなで楽しいピクニック。軽いおし ゃべりに、ふざけ合う笑い声が溶け合い、涼しい空気の下にも温もりが漂う。48歳のお 母さんは、今日は野菜販売の店を閉めて、みんなで遊びに来たんだと語る。「クリスマス 〜新年やルバランの休みになると、ここへ来る道路は大渋滞になるんですよ。それを避け たくて、今お休みにしました。」 近くには3x4メートルほどの小さい食べ物ワルンがあって、温かい食べ物を提供してく れる。店主のおばさんが言うには、ロングホリデーになると一日に100から300人く らいの人出があるそうだ。平日に来るのは、せいぜい30人程度。[ 続く ]