「オランウタン殺害事件」(2018年02月06日)

2018年1月15日、中部カリマンタン州南バリト県ブントッのカラヒエン橋から近い
バリト川の川岸に、頭のないオランウタンの死骸が浮いているのが見つかった。州天然資
源保存館と警察が死骸を回収して調べたところ、そのオランウタンの成獣は身体の前面に
15発、背中側に2発の空気銃弾を受けており、また頭部は斬り落とされていて、周辺に
見つからなかった。

警察は1月29日に南バリト県グヌンランタウ住民のT41歳とM32歳のふたりをオラ
ンウタン殺害容疑で逮捕して取り調べた。ふたりの自供によると、事件の推移はこのよう
なものだったそうだ。


ふたりは南バリト県と北バリト県の県境にあるタルサン村を流れている川の脇にあるゴム
園の農園作業者で、ゴムの木から樹液を採取する仕事をしている。

事件が起こった日、ふたりがゴム園でいつものように仕事をしていると、Tのところに一
頭のオランウタンがやってきて、ゴムの木を折るなどして仕事の邪魔をしたので追い払お
うとした。するとそのオランウタンは反対にTを襲ってきたため、Tは空気銃を取ってオ
ランウタンを撃った。

オランウタンが怖れて逃げることを期待したにもかかわらず、オランウタンは凶暴さを増
してTに向かってきたため、Tは何発も空気銃を撃ったが効き目がない。それでTはMを
呼んで応援を求めた。駆け付けたMは山刀を抜いて、オランウタンの首を斬り落とそうと
斬りつけた。


オランウタンが死ぬと、頭は森の中に捨て、死骸をボートに乗せて川がバリト川に合流す
るところまで運び、バリト川に捨てた。その後、捨てた頭の死臭が強いため、ふたりは頭
を家の近くまで持ち帰って埋めた。警察はオランウタンの頭蓋骨を回収している。

オランウタンは保護動物に指定されており、危害を加えた者には5年以下の入獄と1億ル
ピア以下の罰金が科される。MとTは小学校も終えておらず、保護動物に関する法規など
まったく理解していないため、警察と天然資源保存館はこの機会に地元民に対する広報と
啓蒙に更に注力する方針を立てた。殺害犯のふたりは送検されて裁判にかけられることに
なる。