「疑わしきは犯人扱い」(2018年09月25日)

南タングラン市チプタッのジョンバン第2小学校で生徒たちに一枚の写真が配布されてい
る。写真はフードジャケットを着て微笑んでいるひとりの青年の姿なのだが、「この人間
に気を付けよう」という文章が添えられている。学校側は一体何をしているのだろうか?
4年生担任の教員が事情を話してくれた。それによれば、ある父兄が学校に相談に来て、
その子供である男子生徒が体験したことを伝えたそうだ。

その子はフェイスブックでひとりのお兄さんと知り合った。そして会う約束が交わされた。
子供は当然ながら、仲間を誘ってお兄さんと会った。そのときにどんな状況で何が行われ
たのか、父兄にはっきりしたことはわからない。別れるとき子供たちは、子供の欲しがる
品物からお金に至るさまざまなものをもらって帰って来た。それが大人たちに不審を抱か
せた。頭の中にペドフィルという言葉が渦巻いている。既に何かが起こったのかもしれな
いし、次回に備えて子供たちの気持ちをつなぐためにその男が金品をバラまいたのかもし
れない。


学校側は父兄の意向を汲んで、生徒の中からペドフィリア被害者を出さないようにするた
め、そのお兄さんの顔写真をプリントして配ったというのが顛末だ。急遽学校側は全校生
徒に対し、そのお兄さんだけでなく、誰であっても、自分の身体に変なことをしようとし
たら、拒絶し、逃げ、あるいは助けを呼ぶようにしなければならないということを教えた。
しかし学校と父兄たちの動きに顔をしかめるひとびとがいなかったわけでもない。子供に
自衛の教育を与えるのは良いのだが、まだ何の証拠もないのに先入観だけである人物を犯
罪者扱いするのは、正しい行為でない。

南タングラン市警犯罪捜査ユニット長は、危険を予想して警告を与え、子供たちに被害か
ら免れる方法を教えるのは、当然のことだ、と言う。
「しかし特定人物のアイデンティティを公にして、怪しいという疑惑を社会に流すのは、
たいへんに危険なことだ。それは新たな別の問題を引き起こしかねない。名誉棄損で訴え
られることもありうる。」
警察は学校側の動きを批判した。