「暴力体質を断つ(前)」(2018年10月30日)

ライター: トルノジョヨ大学文化学社会学部社会研究プログラム教官、メドヒ・アギン
タ・ヒダヤッ
ソース: 2018年10月12日付けコンパス紙 "Memutus Habitus Kekerasan"

死に至る暴力行為は繰り返し発生している。学校・家・路上・工場・オフィス・議会・サ
ッカー場・・・暴力行為はどこででも起こる。子供・女性・学生・女中・公務員・サッカ
ーチームサポーターに至るまで、だれもが被害者になりうる。

暴力行為は理由なくして起こらない。社会学的に、暴力行為を生み出す根はきわめて複雑
だ。社会学者は一般に、発生ファクターを内在的と外在的のふたつに区分する。

内在的ファクターは心理的なものが優勢だ。暴力行為者の性格と精神状態が暴力行為を発
生させるのに重要な役割を演じる。感情の変化しやすい人間は、感情が安定的な人間に比
べて暴力行為を行う傾向が高い。(ベネット、2005年)

外在的なものとして、暴力行為を発生させる要因はいくつかある。社会・経済・文化面で
のアンバランスだ。社会・経済・文化上の資本所有が暴力行為を煽る。加えて暴力文化や
メディア(新聞・TV・インターネット・ソスメド)からの暴力行為情報にさらされてい
る状況も暴力行為の頻発が継続する要因だ。


法規、罰、制裁、禁止命令などの社会コントロールツールを増やすことだけでは暴力行為
発生を抑え込めないことをたくさんの研究が結論付けている。(キヴェル、2010年)
構造的・法的・公式的な対策は往々にして暴力行為発生の根源に迫ることができない。暴
力行為再発を防止するための総合的な文化的社会学的アプローチが必要とされている。

社会学的には、その著「実践理論の概要」(1972年)からピエール・ブルデューを引
用するなら、人間の行為はすべからく所有資本・フィールド・体質の計算で決まる。持っ
ている資本、つまり社会的資本(交友ネットワーク)、経済的資本(財力)、文化的資本
(教育)、象徴的資本(評価)の大小が行為を決めるのである。それに加えて、その者が
存在しているフィールドを動かしている諸ルール、そして本人が持っている体質がそれに
関わっている。

体質とは教育としつけを通して規範・価値・習慣が作り上げた体現行為の性向を説明する
ためにブルデューが設定した概念である。たとえば歩き方、話し方、怒り方、思考方法や
態度の取り方などにそれが反映される。それらのポイントは完全に意識的なものなのでな
く、ブルデューの観点では、自動的で往々にして無意識的に発現するものだ。

その概念における暴力気質というのは、暴力行為実行者が自動的で往々にして無意識的に
行っている暴力行為の方法や性向を指している。暴力気質がアンバランスな社会的資本(
社会・経済・文化・象徴)と特定フィールド内で折り重なると、暴力行為が発生するので
ある。[ 続く ]