「プルワダルミンタ」(2019年01月21日) 教育文化省国語センターの編纂するインドネシア語大辞典KBBIが1988年に出版さ れるまで、インドネシア語使用者や学習者にとって価値ある辞典はKUBI(Kamus Umum Bahasa Indonesia)だった。バライプスタカがKUBIの初版を世に出したのは1953 年だ。2万7千語を収めたKUBIは当時もっとも完璧な辞典と謳われた。その後、版を 重ねて1966年に第四版が出されている。 KUBIは更に1983年にKBI(Kamus Bahasa Indonesia)と名を変えて改訂版が出 され、その5年後にKBBIが世に送り出された。官撰KBBIは国語行政が標準インド ネシア語として認めたものを掲載しており、非標準だが世の中に広く流布されているもの は標準外との表示がなされ、また新造語やスラングで国語として認められないものは収録 されていない。2017年に出版されたKBBI第5版には12万7千語彙が収められて いる。 KUBIの編者WJS プルワダルミンタ(Wilfridus Josef Sabarija Poerwadarminta)氏は1 903年に生まれて、1968年に没した。かれはさまざまな言語を学んだあげく、満足 な辞書がないことに不満をかこち、最終的に独学で辞書編纂を修得してインドネシア語の 発展に大きく寄与した。かれは「シンプルで実用的」を辞典作りのモットーにし、見やす く使いやすい辞典が世の中で重宝がられた。 かれの最初の貢献は1931年のジャワ語辞典(Bausastra Djawa I)に始まり、次いで1 934年にオランダ語辞典(Bausastra Walanda)、1938年にジャワ語辞典第二巻(Bau- sastra Djawa II)、1942年には日本語辞典(Kamus NIppon-Indonesia)、1948年に 地方語小辞典(Logat Ketjil Bahasa Indonesia)、1950年にはA Teeuw氏との共著でオ ランダ語辞典(Indonesisch-Nederlands Woordenboeck)、1951年英語辞典(Kamus Indonesia-Inggris, Inggris-Indonesia)、1969年ラテン語辞典(Kamus Latin-Indo- nesia)をものして、辞書作りの人生を送った。1968年にヨグヤで没するときは、フラ ンス語辞典の編纂中だった。