「少年の暴力は人類の宿命か?」(2019年02月27日)

深夜、走行中の車に投石して、そのビデオを誰かがソスメドにアップしたら、これほど誇
らしいことはない。「我ここにあり。それをやったのはこのオレだあああ〜!」

16歳ふたりと18歳ひとりの少年たちは、19年2月3日の夜、ヨグヤ州スレマン県の
ティルトアディ広場に集まって酒を飲みながらうっぷんを晴らしているうち、騒ぎを起そ
うという結論に合意した。騒ぎの内容が犯罪であるか、社会悪であるかどうか、などとい
ったことにかれらの関心はない。自分たちが行えて、それで世間が騒ぐなら、事足りるの
である。

街中で起こった事件、特に犯罪がかったもの、をビデオに撮り、ソスメドにアップし合っ
ているコミュニティがある。かれらは三人とも、そのグループに入っていた。衆議一決し
たかれらは、即座に行動を開始した。

16歳のふたりが一台のオートバイに乗り、投石する。もうひとりは別のオートバイで、
状況監視に当たる。こうしてその夜のうちに、スレマン市内ムラティ郡で5件、ゴデアン
郡2件、セイェガン郡で2件と合計9カ所で走行中の車両にやはり走行中のオートバイか
ら投石するという事件が発生した。四輪車は窓ガラスが割れるという被害程度で終わった
が、少年たちは二輪車に対しても投石している。当たり所が悪ければ、殺人になりかねな
い。

スレマン県警ムラティ署は捜査の末、その少年たちを2月9日午前2時に逮捕した。三人
は取調べに対してそれぞれ、家庭の中、あるいは友人関係で問題を抱えており、自信を取
り戻せるようなスカッとすることがしたかった、と述べている。

ヨグヤカルタ州では、19年1月4日にムラティ郡で無職の少年が酒を飲んだ上で、魚釣
り帰りの住民を刃物で襲い金品を奪った事件、1月19日にはヨグヤ市内の大通りで二輪
車が別の二輪車を追い越したところ、追い越された男が腹を立てて追い越した男に刃物を
振るい、首を傷つけた事件などが路上交通犯罪の中に見出される。

児童保護国家コミッションヨグヤ州支部長は今回の事件について、「犯罪を起こす少年た
ちは家庭の暖かみを知らない者が多く、家庭の外で自分を包んでくれる場、自分が自己存
在を確認できる場を求めようとする。見つけた場が反社会的なコミュニティであれば、か
れらがどうなっていくかは明らかだ。かれらは少年暴力犯罪をヒロイックでスーパーなも
のと考える。問題の根は家庭にあり、それを踏まえた包括的アプローチでこの問題に向か
わなければ、少年暴力犯罪を抑え込むことはできない。」とコメントした。

一方、ガジャマダ大学犯罪社会学者はこの種の事件に関して、少年たちの社会行動に関す
る教育機能を家庭が果たしていないことが少年暴力犯罪のベースにある、と説明する。
「子供たちは社会コミュニティの善き一員になるための規範や価値観を教育されないまま
成長している。親の社会性が惰弱であれば、子供は文化規範を平気で踏みにじるようにな
る。不自然な時間に子供がどこで誰と何をしているのかを親は監督しなければならない。」

ヨグヤ州警は今回の三人について、厳しい法的措置を執って懲罰効果を社会に示す方針で
あることを洩らしているが、児童保護国家コミッション支部長はそれに対して反対を表明
している。法律を盾にして厳しい措置を執ったところで、少年暴力犯罪は次から次と起こ
って来る。それで問題の根を解決することはできないというのがその意見だ。

だがガジャマダ大犯罪社会学者は、厳しい措置を与えて懲罰効果を招くことは必要である
と説いた。「少年が暴力犯罪を行おうとするとき、それを思いとどまらせることができる
のが厳しい刑罰だ。」と。