「一部ヒット曲放送禁止!?」(2019年03月08日)

国家放送コミッション西ジャワ州支部が所轄域内の放送機関に対して、外国産のヒット曲
とビデオクリップの中で特定のものの放送を制限する決定を下した。

その対象になったのはタイトル、歌詞、画像内容が性的行為を印象付けるわいせつな内容
を含んでいると判断されたいくつかの外国ヒット曲とビデオクリップで、同支部はそれら
をD区分(Dewasa)に分類し、規則で定められているD区分の放送時間帯である22時から
午前3時までの時間に限って放送するように、と放送機関に通達した。その通達は201
9年2月18日付け回状第480号でなされている。

同支部が行ったその判断と通達は、2002年法律第32号放送法と2012年に国家放
送コミッションが制定した「放送実施基準と放送作品規準」に則したものであり、放送監
督プロセスにおける手続き上の逸脱はまったくない。

国家放送コミッション地方支部が所轄域内放送機関に対してわいせつの印象を与える作品
の放送に制限を加えた例は過去数年間に西ヌサトゥンガラ州と中部ジャワ州で起こってお
り、今回がはじめてではない。

国家放送コミッション本部は今回のできごとについて、各州支部は独自に所轄域内におけ
る倫理基準を持ち、それに従って判断を下しているわけで、それに対して中央本部が干渉
することはできない、とコメントした。種族文化の違いは多様性という国是に従って尊重
されなければならず、文化上の価値観における画一化は常に厳しく抑制されているのがイ
ンドネシアの実情であり、中央本部のスタンスは常套的なものと見ることができる。

情報通信界オブザーバーは今回のできごとについて、きわめて妥当性の欠如した措置だと
批判した。そのコメントによれば、[1] 対象に指定されたものが西洋のものばかりであっ
たことで、インドネシアの作品にも同じようなものはいくつもあり、それらが指定されな
いのは片手落ちである、[2] わいせつの規準に個人差があるため、決定者は作品のどの部
分がわいせつなのかを示さなければならない、[3] 決定者は本来、ある放送機関が違反を
行った場合はその対象機関に警告を与えて改善を促すのが本筋であり、このようなリスト
を作って回覧することは本筋から外れている。放送機関の自主性を尊重し、悪質な者に措
置を執ればよいことだ、といった辛辣な批判が投じられた。

また西ジャワ州の放送業界の実態を知る者は、今回のできごとは何ら実質的なインパクト
を持ち得ない空騒ぎに終わるだろうとの見解を述べている。というのは、西ジャワ州の放
送業界はジャカルタの放送機関にまったく太刀打ちできず、業界自体が閑散としたものに
なっていて、活気も覇気もないままほそぼそと活動を行っているに過ぎないことから、そ
こにあれこれ指図したところでジャカルタから届く電波が旧態然であるかぎり、一部の州
民にとっては従来と何も変わらないことになるというのがその意見だ。どうやらこのでき
ごとは勇み足の観が強い。