「ソントロヨ(2)」(2019年04月25日) アリ・サディキン都知事(1966〜1977)は仕事の遅い部下に対して頻繁にこう語 りました。Masa urusan sederhana dan benderang begini dikerjakan berbulan-bulan. Itu namanya pejabat sontoloyo. 知事のその言葉に自尊心を傷つけられて、恨みを抱いた部下はいませんでした。バンアリ の言葉を部下たちは正しいものと受け止め、苦笑いを顔に浮かべるばかりだったのです。 日常交際における薬味として、ソントロヨ以外の類語がいくつか挙げられます。 trondolo, trembelane, mbelgedes. ブタウィ人社会で使われているbuset, sialan, aje gile, kunyukなども同様で、それら すべては日常交際語としての普通の単語なのです。 [ 南ジャカルタ市在住、Pヘンドラント ] [ III ] 2018年12月6日付けコンパス紙への投書"Sontoloyo 2"から 拝啓、編集部殿。ソントロヨという語は東ジャワでアヒル使いを指して使われますが、 セメント材料を混ぜ合わせる仕事をうまく行わない石工の下働きにも使われます。 その意味を考えるとソントロヨという言葉は、何か物を持っても落としたりこぼしたり 割ったりというように、そそっかしさのある人間に使われる印象です。 一方、ジョグジャの田舎で生まれ育ったわたしには、1990年代にジャワ語の唄の中 にそれが出てきた記憶があります。一部しか覚えていませんが、こんな歌詞でした。 Sontoloyo, tiwas diundang ora mengok Sontoloyo, tiwas duindang ora nggawa kado ソントロヨ、呼ばれても振り向きもしないやつ ソントロヨ、招かれても手土産ひとつ持たないやつ その歌詞からわたしは、他人を失望させる人間という意味合いを感じます。 一方で、ちょっと粗野にふざけたり、揶揄するような意味を持っていることも確かです。 そしてふざけかかる者とされる者の間には、上位者から下位者への方向性と相互信頼が 存在していて、かわいがろうとしてからかっているのだという印象が感じられるために、 される者が不愉快さを抱いて根に持つということがありません。 政治コンテキストの中で使われようがそうでなかろうが、この言葉は既にKBBIに収 録されてインドネシア語の世界を豊かなものにしているのです。 [ ブカシ在住、アグスティヌス・アスタンタ ] [ 続く ]