「リテラシー向上は遅々」(2019年04月25日) 国民リテラシー向上運動が始まってから二年、国民が書物に触れる機会の拡がりは微々た るものだ。関心を持つテーマと年齢層に合ったものに出会える場所。それが国中にマスの 拡がりを見せてくれるのは、いつのことだろうか? その底辺を支えるべき学校図書の実態は、依然としてお寒いかぎりだ。「学校図書室にあ る本はほとんどが教科書や教材で、学校の運営助成金で購入されたものが大半を占めてい る。」ランプンの中学教員はそう語る。生徒たちに読書の楽しみを体験させるために、そ の教員は自分の持っている小説や伝記など中学生が興味を持つ書物を積極的に貸し与えて いる。 しかし反対に、関係者のそんな好意に飛びついて来る生徒はほとんどがクラスランキング の上位者に限られていて、親が子供の教育に関心を持つ家庭の子女に限定されている。そ うでない生徒たちに本を読む意欲を持たせることがリテラシー向上運動の目的であるのだ が、あらゆるものが不足していて、運動の現場推進者たちを歯ぎしりさせるばかりだ。 2018年11月に教育文化省初等中等教育総局が6,539人の生徒を対象に行ったリ テラシー能力測定検査の結果によれば、800点満点のスコアに対して最高点は768、 最低点は200、平均点は489で男子平均480、女子平均494となっていた。 国語(インドネシア語)教員の多くも教科書を教えることにかかりきりであり、なかなか 副教材にまで手が回らない。プリントを作っても、教科書から書き写してきたようなもの を生徒に与えることで終わっていては、生徒たちが物を読む楽しさを体験することは稀に なってしまう。 ならば文学の素養を持つ教員が自ら書けばよいわけだが、国語書籍開発庁が2018年に 1,467人の国語教員を対象に行った能力テストで、種々の様式の文章を読んでその論 旨を正しく理解できた教員は半分しかいなかった。 叙述文を理解できた教員 54% 説明文を理解できた教員 52% 解説文を理解できた教員 58% 物語文を理解できた教員 51% 手続文を理解できた教員 53% 報告文を理解できた教員 49%