「ソントロヨ(終)」(2019年04月26日)

[ IV ]
2018年12月13日付けコンパス紙への投書"Mbelgedes Aku Tak Percaya"から
拝啓、編集部殿。12月6日付けコンパス紙に掲載されたPヘンドラントさんの投書は
わたしにmbelgedesという表現を思い出させてくれました。確かにKBBIの第四版に
も第五版にもmbelgedes, mbel, gedesはいずれも採録されていませんが、うんざりした
気持ちや揶揄を表現する際に使われる普通の言葉であるのは確かです。

時にmbelgedesはmbelだけが使われ、「ンベ〜ル」と長く伸ばされて不賛成をちょっと
小馬鹿にする印象にくるんで発言されます。たとえばこんなシーンです。
Jika terpilih jadi anggota legislatif, akan saya turunkan harga barang-barang, 
bebaskan biaya berobat, hapuskan utang luar negeri, sejahterakan rakyat, ber-
dayakan pelaku bisnis, bebaskan rakyat dari sampah menggunung.
すると聴衆は「ンベ〜ル!ンベルグデス!」と応じるのです。

わたしはmbelgedesという言葉にふさわしい語義をaku tidak percayaではないかと思っ
ています。まるで信じられない公約を連発する代議士や正副大統領立候補者に対するン
ベルグデスの使い方は読者に一任したいと思います。

とはいっても、わたしはmbelgedesがKBBIに収録されることを切に希望するひとり
です。理由の第一は語彙と語義が一致していること、第二は三つの単語(aku tidak per-
caya)が一語で表現できる実用性、第三はインドネシア語がより幅広く代表的な言語と
なるためにより深い豊かさを追求して、記述言語的要素を持つ言葉を取り上げるべき時
代になっているのではないかということ。

第四の理由は、シェークスピアが英語の語彙を拡大するのに貢献した事実と比較するな
ら、その妥当性はゆるぎないものではないかということです。シェークスピアは人間の
性格と行為を表す言葉を、高貴で喜ばしいものから下品で嫌悪を催すものまで、種々の
語彙を生み出しました。noble, generous, curse, bastard, groan, deceitful, grin 
などがそれです。

英語の発展、中でも文学や人文科学の分野で、それらの語彙は大きく貢献しています。
だから言語学界の職務は地方語の中から種々の語彙を洗い出し、インドネシア語をより
豊かでしっかりしたものに育成することにあるのです。そうすることで地方語もより整
備され、大切にされることでしょう。

ひとは言語によってその威厳が受け入れられ、尊敬されるのです。言語は個性を映し出
す鏡です。lingua imago personae est. とは言っても、わたしのこの提案を読者はmbel-
gedesと応じても構いませんが。[ ブカシ在住、Aアスタンタ ]
[ 完 ]