「家族計画推進も反テロも根は同じ」(2019年05月23日)

オルバ期にインドネシアは家族計画プログラムを行っている国々の間の優等生になった。
それは家族計画の目的がクオリティの高い人間を作り上げることにあるという点に宗教界
が賛同した結果であり、宗教の目的とオーバーラップするその目標を目指して宗教界が政
府と民衆の橋渡し役を担ったからだ。

国民に対する政府の家族計画に関する教育を宗教団体が運営する教育機関がヘルプしたり、
また宗教団体が運営する保健クリニックや病院が現場活動を全面的にサポートした。その
支援と協力が幅広い国民へのプログラム振興を円滑で有効なものにしたのである。宗教界
がそっぽを向き、政府だけが自分の手の届く範囲でだけ行っていたら、オルバ期のあの成
果はなかっただろう。

ところが、オルバ政権が倒れてレフォルマシ時代が幕を開いてから、旧政権の諸悪糾弾が
あらゆる政策を色眼鏡で見る結果をもたらし、従来の国民行政の維持継続が困難となる結
末に至った。

中央集権が悪だとされて地方分権の形が作られたものの、地方自治体に政策遂行のインフ
ラも人材もノーハウも欠如したまま開始されたがために、オルバ時代に行われていたこと
があらゆる場面で断絶・停滞・放置されるという局面を迎えた。家族計画プログラムもそ
の例外ではない。


レフォルマシ時代がかなり進んでから、家族計画プログラムの重要性の再認識と主管官庁
の努力の結果、現場活動の再活性化が復活した時、家族計画プログラムに反対する勢力が
生まれていたことが明らかになって来た。

宗教界に保守主義が強まり、保守派リーダーたちが民衆に向けて行う、生活面における教
育指導の中に若年結婚・多産多子・ポリガミーなどが奨励されていて、家族計画に真っ向
から対立しているのである。加えて特定集団は宗教に関係のない別の要因、つまり集団間
対立抗争への疑惑を扇られている。政府はわれわれ集団の人口を減らそうと画策して家族
計画というものを行っているのだ。人口が減れば減るほど、支配が容易になる。政府の言
うことに騙されてはならない。

それらの観念をプロモートしている者たちは、家族計画をサポートする宗教界に門戸を閉
じ、自分たちの意見に従う民衆を集めた閉鎖社会の中で唯我独尊体制を作り、安住してい
る。

ウラマ評議会や大手宗教団体は国是としての家族計画を支持してきた側で、あちこちにで
きている宗教保守派閉鎖グループを開放に向かわせる意向を持っているのだが、進展はは
かばかしくない。

この種のグループはラディカリズムやテロリストの温床になりかねない可能性を持ってお
り、イスラムヌサンタラという宗教的民族国家を支える決意を抱いているイスラム主流派
は、かれらを啓蒙して仲間に取り込み、政府を支持する立場に変えて行くことが現在の課
題になっている。

それら集団のリーダーたちをどのようにしてイスラム主流派の考え方に目を向けさせ、心
を開かせて行くか、というのが対策の骨子であり、忍耐強い接触が必要とされるに違いあ
るまい。